FM 今週のポイント(8月31日)

2015/08/31 <>

*想定外の大波乱となりました。日経平均株価が17000 円台を示現すると考えた投資家はほんの僅かであったと思われます。24 日のNYダウが一時、1000 ドル以上下落したことを見ても投資家のセンチメントの振れ具合の大きさが窺えます(VIX 指数は53 まで上昇、算定不能に)。ドル円相場が一時116 円台を示現したことも付記しておきます。

*この大波乱のきっかけは中国景況感の悪化観測です⇒上海総合指数が中国政府の拙策もあり下げ止まらず、投資家センチメントを急冷させました(以前から投資家の間では中国のGDP 等の景気指標は当てにならないとされていましたが、日経新聞の紙面でも指摘されるに至りました⇒中国のGDP 成長率は3.5%程度と考えている専門家もいるようです)。GDP 世界2位の中国の減速は世界経済の下振れにつながります。2週間前まで米国の9月利上げが確定したかのような雰囲気がありましたが、現状では難しいようです(イエレン議長の片腕であるNY連銀ダドリー総裁は記者団に対し「現時点で、9月のFOMC で正常化プロセスを決定することは、数週間前と比べ切迫性が薄れている印象がある(seems less compelling)」と述べた。弱い中国指標に端を発した株安連鎖は世界経済成長を阻害しかねず、金融市場の状況を米国の利上げ開始に不適切なものにしているとした)。

*米国の利上げが今回のマーケット波乱の根源とする説が根強くありますが、それは違うと思います。逆に、9月利上げが難しくなったことが今回の株価大暴落を誘発したと考えています。現状まで世界の株式市場を押し上げていた要因は過剰流動性の拡大と堅調な米国経済です。今回、中国等の影響から米国経済に疑念が生じたことになります(マーケットは9月利上げ確定で米国経済の好調さを確信したかった)。

*売られすぎの反動から週末にかけては急速反転となっています(日経平均株価は19000 円台を回復、ドル円相場も121 円台)。ただし、このまま一本調子で復元するとは思われません⇒過去の暴落時のパターンを検証すると、大暴落時はほぼ例外なく2番底を確認してから本格上昇に転じています⇒今回も19000 円台を値固めしきれず、18500 円レベルでの2番底を想定しています。FOMC までは本格的な新規投資が難しいため空売り、買戻しの空中戦からボラタイルな相場状況を覚悟する必要があります。

*9月FOMC では利上げを見送ると思いますが(中国等の海外発の要因により世界的にリスク資産市場が動揺していることを鑑み9月の利上げを見送る)、年内利上げ(12 月)について改めて意欲を示すものと思われます(米国経済は順調に拡大、早期に金融正常化の必要がある)。その場合、米国経済への信頼感が復活、リスクオンへ転換するものと思われます。いずれにしてもセンチメントが大きく振れる(リスクオン⇔リスクオフ)過剰流動性相場が続いています。マーケットと一緒になって右往左往しないことが重要な局面です。

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