FM 今週のポイント(7月27日)

2015/07/27 <>

*2015 年度第1四半期の決算発表は本格化しつつあり、今週(7月27 -31 の週)にピークを迎えます。前年度第1四半期の消費増税による反動減からの回復、1-3 月期に落ち込んだ米国経済の再加速、穏やかな円安進行、設備投資や消費など内需の回復傾向などを背景に、堅調な業績が予想されます。I/B/E/S コンセンサスは、東証1 部企業全体の4-6 月期・経常利益が前年同期比で+9.7%(金融を除くと+12.3%)、前四半期比で+22.8%(金融を除くと+20.9%)と予想しています(製造業が前年同期比+16.2%と牽引役となっており、非製造業も同+7.9%の予想となっている)。実際に先週始まった決算発表では安川電機、日本電産、信越化学等の良好な発表が相次ぎ、先行きに明るい展望を抱くことができました。ただし、マーケットの関心は7-9 月期以降にあります。4-6 月期の良好さはほぼ織り込んでおり、市場全体が決算通過で大きく上昇するとは考えませんが、個々の銘柄においては大きな波動が予想されるためアクティブマネージャーとしての血が騒ぐ局面です。

*肝心の7-9 月期以降の見方がネガティブに傾きだしています。WTI 先物は50 ドル割れ(3 ヶ月ぶりの安値)、CRB 指数は210 ポイントを下回り09 年以来の水準まで下落しています。原油については、イラン核協議の最終合意で供給過剰不安が台頭していることも下押し圧力となっている模様です。また、資源国通貨売りの反対サイドでドルが買われています⇒ドルと国際商品市況は逆相関が強いため、ドルが買われること自体が国際商品の売り材料となっています。さらに背景として考えられることは世界経済の減退です⇒特に中国、ブラジル等の新興国の低迷が予見されます(米キャタピラーCEO のコメント:中国、ブラジルは依然として弱く、欧州は不透明、鉱業関係での状況に全く改善が見られず多くの顧客はとにかく可能な限り既存のトラックや他の機器を使用し続けている)。年内の米国利上げを見込んで新興国を中心とした一時的な景況感の悪化懸念がリスクオフを加速させることもあり注意が必要です。

*しかし、良く考えてみれば世界景況感の悪化(新興国発)は今、始まったわけではありません。昨年の6月頃にはWTI 先物価格は110 ドルでした⇒今年初には40 ドル台前半まで下落していたわけです⇒1年以上にわたり景況感は悪化し続けています。この間、世界の株価指数は上昇を続けています。景況感が悪いから世界の中央銀行は緩和を続け(特に日銀、ECB によるQE効果が大きい)過剰流動性モメンタムが拡大し続けているからです。つまり、現状で懸念が大きくなっている新興国景況感不安は株高のフレームワークを崩壊させるものではありません(過剰流動性モメンタムが一段と強ま)。ただし、株高フレームワークのポイントは米国経済の強さです(米国経済がしっかりしていて世界的な景況感減速を緩やかにさせる中で、過剰流動性モメンタムが強まることが重要)。今後は年内の利上げが可能か否かを焦点に、米国ファンダメンタルズの吟味が大切です。

*当面は日経平均株価ベースで20500 円を挟んだレンジ相場が想定されます。そして相場の性格は春先同様の債券代替相場が継続しそうです(業績相場はまだまだ先)。

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