FM 今週のポイント(6月29日)

2015/06/29 <>

*一時、2万円大台を割り込んだ日経平均株価が先週初から一気に切り返して24 日(水)には2000年4月のITバブル時の高値を更新しました(終値は20868.03 円)。目まぐるしい展開にマーケット参加者は追いつけません。この激しい展開の背景にはギリシャ情勢があります(ギリシャは6月30 日にIMF に対して約15 億ユーロを返済しなければならない。IMF のラガルト専務理事は18 日、返済に「猶予期間はない」と言明。支払いが無い場合、7月1日にもデフォルトとなる)。22 日にはギリシャがEU側に新提案してデフォルト回避の機運が盛り上がりました⇒22、23 日で日経平均株価は635 円上昇。しかし23 日のユーロ圏緊急首脳会議、25 日のEU首脳会議でも折り合いが付かず、週末にかけて再度、デフォルト懸念が高まり利益確定売りにおされました(20700 円台で終了:反動安軽微)。

*ギリシャ問題は本来ノイズに過ぎないと思います。ギリシャの政府債務の80%はトロイカ(EU、IMF、ECB)が保有しています。後の20%のほとんどがギリシャの民間銀行とヘッジファンドです。従って、ギリシャがデフォルトに陥っても困るのはトロイカとギリシャだけです⇒世界的な金融システム危機には発展しません(現時点で、ポルトガル、スペイン等への波及は考えられず、ユーロ債務危機当時とは相違)。その証拠にインターバンク市場における上乗せ金利(インターバンク金利-政策金利)は低位安定です(現在10bp 程度:リーマンショック時200bp、ユーロ債務危機時100bp)⇒ギリシャ国債がデフォルトしても2011 年のようなユーロ危機は起こりません(ギリシャが30 日に期限を迎えるIMF 向けの15 億ユーロの支払いを行わない場合、ギリシャよりもIMF の方が厄介な状況に追い込まれるかもしれない。債券投資家への支払い不履行とIMF のような公的機関への支払いが滞るケースでは事情が異なる。IMF の指針では国家が支払いを行わない場合については「滞納」と見なされる。ジェリー・ライス報道官はIMF が「デフォルト」という表現を使わず「滞納」という用語を忠実に使用する方針だと25 日に語った。主要格付け会社3社もIMF への不払いが正式なデフォルトに相当しないとの見解を示す。ギリシャが債権者との合意に向けた協議にとどまる限り、同国への実際の影響は軽微かつ一時的なものにとどまると予想されるのに対し、IMF の世界の「最後の貸し手」としての評判はより長期にわたる打撃を被り、将来の救済で支持を得ることが難しくなる恐れがある:Bloomberg)。

*ギリシャ情勢はノイズであり、デフォルト回避となってもデフォルトとなってもイベント通過で世界的に株価は上昇する可能性があります(デフォルトでもギリシャのユーロ圏残留が前提)。しかし、週末には想定外である「ギリシャ国民投票」のニュースが飛び込んできました。一旦、合意に向かっていたギリシャとEUの支援協議は財政再建策の中身を巡って紛糾、対応に窮したチプラス首相は7月5日にEU側が求める再建策の賛否を問う国民投票の実施を表明しました(チプラス首相は「EU側の最後通告に断固拒否を」と国民に呼びかけており、真意がわかりません)。明らかにイベントは延長戦です。短期的には乱高下を覚悟する必要があると思われますが、あくまでもギリシャ情勢はノイズに過ぎないということを念頭に置くことが大事です。

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