FM 今週のポイント(6月15日)
*日経平均株価12連騰後、想定通りの調整局面を迎えました。連騰疲れ、反動ではなく、欧米の金利上昇を発端とする世界的なアンワインドです。9日には黒田日銀総裁の円安牽制発言?(真意は不明)があり、日経平均株価が360 円の急落となり2万円大台ギリギリまで下落(14 時以降の欧州勢と見られる売りが裁定解消を巻き込んだ)、市場の楽観論が揺らぐことになりました。その後、注目された指標:米小売売上高が予想以上となっても米国長期金利が落ち着いた動きを示し、週末にかけては20400 円台を回復して終了しています(週足陰線)。
*今回のドイツ長期金利上昇については2003 年当時の日本市場との類似性が指摘されています⇒多くの金融機関は「VaR」という手法でリスク管理をしています。国債価格の変動が大きくなった場合、国債の持ち高を圧縮する必要があります(しかも、各金融機関一斉に動くことになります)。2003 年当時の日本10 年物国債利回りは0.4%台から1.7%程度まで一気に駆け上がりました。今回のドイツ10 年債利回りは0%近傍から一時1%を上回る場面が見られました。ドラギECB 総裁が前回の理事会後の記者会見で指摘したように、極端な低金利状態にある債券利回りは極めてボラタイルな状況にあることを認識する必要がありそうです(認識しているからVaR にのっとりポジション調整が起こる)。債券利回りが上昇すると債券代替で買われていた株式市場から資金が流出することは必然です。当面は欧米の金利上昇には要注意です。
*金利上昇を促す要因として米国の早期利上げ観測があります。現状においては60%から70%の市場参加者は9月利上げを想定しており、FOMC 等で通常の年内利上げ示唆発言が飛び出してもビクともしません⇒ただし、6月は無くとも7月の可能性が高まった場合、あるいは年内2回の利上げを意識する場合は金利上昇、株安の加速が連想されることになります。足元では小売売上高を無難にスルーしましたが、今後の米国景況感を占う指標には注意を払う必要があります。
*結果的には今回も4月同様に厚い過剰流動性が勝り調整局面は短期的に収束するものと想定しています。ただし、調整局面の渦中においては想定外の下落を考慮に入れながら極めて細やかなファンドマネジメントに徹する必要があると思います。例えば、ギリシャのデフォルト等は本来ノイズに過ぎないと思いますが、調整の渦中では思わぬリスク圧縮につながり想定外の円高、株安を引き起こす可能性があるからです。
*市場参加者が潜在的なリスクを認識している場合、日経平均株価等の指数の上値が限定されます。しかし、リスクが顕在化しない場合は市場エネルギーが中小型株に向かう傾向があります。当面は新興市場を中心とした中小型株物色が継続するものと思われます。それが本格的な業績相場の到来なのか? 良く吟味する必要がありそうです。
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