FM 今週のポイント(2月16日)
*先週は日経平均株価が一時18000円を突破、12日終値でも昨年来高値を更新、2007年7月以来、 7年7カ月ぶりの水準を回復しました。今回のリスクオンのきっかけは6日発表の1月米雇用統計です。雇用増が市場予想を上回ったうえ、過去のデータも大幅に上方修正され、3ヶ月間で100万人の雇用が創出されたことを好感しました。FRBの利上げ後ろ倒し観測が後退して2年債利回りが上昇、日米金利差拡大からドル円相場は一時、120円台を回復しました。原油価格が2月に入ってから底入れの兆しを見せていることも朗報です(一時44ドル台まで下落したWTI先物価格は週末52ドル台で推移している)。12日にドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの4ヶ国首脳会議の結果、親ロシア派、ウクライナ政府、OSCE(欧州安全保障協力機構)が停戦合意文書に署名しました。実際に停戦、ウクライナ情勢が緩和するか否か予断を許しませんが、マーケットは好感、欧州株式は大幅に反発、米国株も小売売上高の不振を尻目にNYダウが3桁の上昇となりました。残る問題のギリシャ情勢も、よもやギリシャのユーロ離脱はあり得ないとの観測が主流となっています(ギリシャのプライマリーバランス目標値引き下げをドイツが容認姿勢)。外部環境がじわじわと改善したことが国内株式市場上昇の背景となっています。
*今週のポイントは10-12月期GDP速報値です。2四半期連続マイナス成長が市場を揺るがした7-9月期GDPショックの経験から今回の統計の注目度は高くなっています。しかも現状は来期の企業業績を会社側、マーケット双方が見極めるセンシティブな時間帯です。10-12月期の成長率が高めに出れば15年度の業績を強気に見る企業、アナリスト、投資家が増えると思われます。逆に弱ければ慎重な見方の関係者が増えて国内株式市場の上値が必然的に重くなるものと思われます。現時点での市場予測値は前期比年率3.8%と前期の反動から高めの予想になっています。マイナス成長は無いとしても今回もネガティブサプライズとなる可能性は大いにあり要注意です(7-9期のGDPで撹乱要因になった在庫調整の動きは自動車産業等で現在も継続している)。そして楽観的な見通しのギリシャ情勢も短期的には市場を揺るがす要因になり得ます。ユーロ圏各国の政府はギリシャ救済の行方をめぐる決定を持ち越し、16日のユーロ圏財務相会合で新たな合意を目指す手はずです(現行のギリシャ支援が2月末に期限を迎えることを控え、当面の必要資金を手当て出来るかが最大の焦点)→週明けはこれを見極める必要がありそうです(ギリシャ株式市場は16日協議の進展を期待して年初来高値を更新。預金流出懸念で大きく下落していた銀行株指数も急反発している:楽観的な雰囲気で反動を警戒する必要がある)。
*目先のテクニカル的なポイントはドル建ての日経平均株価が1月の高値を更新するか否かです。ちなみに1月高値は28日の151.40ドルで昨年来の高値である7月29日の153.41を下回っています。せめて1月水準を抜けない限り外国人投資家の日本株シフトを期待することができません。NTレシオの低下も顕著になっています。12月25日の12.53倍、1月30日の12.49倍から直近にかけて大きく低下、週末は12.35倍です。例年周期性があり、2013年12月25日の高値12.72倍から2014年6月30日にかけて12.00 倍まで下げ続けました。今回もNTレシオが一段と低下する可能性もあり外国人投資家動向とともに物色の方向性を左右する要因になります。また、例年はこの時期期待できる小型株物色が見られないことも今年の特徴です。週末の新興2市場の東証1部に対する売買代金比率が6%台まで急低下しています(12月26日は17.43%)。外国人投資家、個人投資家ともにリスクを取っていないことになり、年金資産を中心とする内需ディフェンシブ物色の流れが続くとともに買い戻し主導の色の無い上昇相場が継続する可能性があります。
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