コロナショックをどう乗り切るか

2020/04/13

・新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)を引き起こした。特定の感染者の集団(クラスター)を個別に抑え込めればよかったが、最初は誰も深刻に考えなかった。

・特定の感染者とのつながり、特定の場所・地域にとどめることができず、感染源(リンク)が広がって医療の能力(キャパシティ)を超え、感染爆発(オーバーシュート)が起きてしまった。中国、韓国、欧州のイタリア、スペイン、米国などに時間差をもって広がった。

・日本はどうか。東京は正念場にある。3月末から4月にかけて、密閉、密集、密接を避けて、凌ごうとしている。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」も発動された。

・感染を広げないようにするには、人の動きを止めることである。深刻化した街は、都市封鎖(ロックダウン)や戒厳令(外出禁止)に追い込まれた。潜伏期間からみて、2週間動かなければウイルスを持った人も状況を落ち着かせることができる。発病して重篤な人だけ病院に行って次の処置を行うことができれば、オーバーシュートは抑えられる。

・ところが、こうした強制手段の実行は簡単ではない。強権国家なら都市封鎖や戒厳令はすぐにでもできるが、民主国家は事態が深刻化しないと簡単には動けない。それでも感染爆発が起きて死者が急増してくると、民主的な同意の取り付けなどと悠長なことはいってられない。

・命を優先するとなると、経済活動はストップしてもやむを得ない。毎年インフルエンザで多くの人が亡くなっているとか、経済がストップして困窮する人が大勢出てくる、という問題ではなくなった。

・我々にとって初の恐怖なので、リスクは過大に受け止めざるをえない。ウイルスとの戦争なので、①まずは戦死者を減らす手立てを打つ。次に、②ウイルスに勝つ治療法、薬を開発する。③パンデミックを抑えたところで、経済の立て直しに手を打つ。

・経済がストップしている間に生活や仕事が回らなくなっては困るので、お金を回すようなバラマキ政策は必須となる。緊急事態には、通常の禁じ手を使うことも容赦しない。

・新型コロナウイルスのオーバーシュートはいつ収まるのか。封じ込めを3か月でできればよいが、国や地域を超えた人の移動でパンデミックが連鎖的に続く可能性がある。それでも、今から6か月あれば、かなり状況が落ち着いてくると期待してよい。

・9月までに最悪期を脱していれば、経済的な打撃も早めに克服できるものとなろう。もし1年も続くとなれば、オリンピックを1年延期して済む問題ではなくなってくる。

・経済的打撃については、3つの側面からみる必要があろう。第1は、人の動きを封鎖するところからくる需要の喪失である。インバウンド、レジャー、ホテル、小売、外食、ヘルスケア、交通などには、需要の減少が瞬間的に大打撃となる、企業としての存続すら危なくなっている中堅企業が続出しよう。

・第2は、サプライチェーンから見た供給の喪失である。中国など海外からの部材が入ってこない。国内での生産体制が十分揃わない。取引先との関係で仕入れが不利になってくる。輸出や海外拠点との連携が有事を想定していないので、うまく回らない。こうした供給面での制約によって、商品・サービスが提供できない、ということが長引くかもしれない。

・気候変動や自然災害へのBCP(事業継続計画)やリスクマネジメントは、それなりに経験してきたが、今回のようなウイルスパンデミックに直面して、緊急の対応策やビジネス遂行の仕組みに関して、抜本的な見直しが迫られよう。

・事業ポートフォリオをどのように再構成していくのか。BCPのグローバル戦略はどのように再構築するのか。サプライチェーンからみて、在庫、人員、施設能力などの水準はどこにおくのか。一定の余裕は、これまで以上に持っておきたくなろう。

・第3に、資金繰りはどう考えておくのか。リーマンショックの後、3か月~6か月の間仕事がなくなっても社員をリストラせずに会社を継続できるように、それ分の現金はもっておきたいという会社がでた。一見資金効率が悪そうであったが、いざという局面で、そのサステナビリティが輝いてくる。

・日本の場合、パンデミックへの対応で3か月経済がストップするとすれば、GDPはどのくらい落ち込むのか。GDPの10%が減少するとすれば、年間で54兆円規模、3か月で13.5兆円の影響を受けることになる。事態は相当深刻である。経済対策として、少なくても実質ベースで10~15兆円が必要であり、大規模な手が打たれよう。

・事業規模で総額108兆円のコロナ対策予算が組まれた。生活者への所得補填、企業への休業補償など直接的給付額は6兆円強で、大半は資金繰りのサポートである。資金が続かなければ、企業はやっていけない。そのサポートでどのくらいの付加価値が救済されるのか。正確には分からないが、一定の前提を置くと四半期で5兆円はありえよう。何とか凌いでほしいが、今後追加予算も必要になろう。

・中国、米国、欧州が空前の金融・財政政策を打とうとしているのも当然である。GDPの10%が一つの目途であろう。米国は、20兆ドルのGDPの10%に相当する2兆ドルを投入するという。消費需要が喪失し、失業者の所得補填、雇用者の所得補償が急務である。現金や商品券の給付が大幅に実施されよう。

・新型コロナウイルスの治療薬の開発も急ピッチで進められている。ここにも継続的なR&D費の投入が必須である。医療施設、医療機器、医療人材の配置については、平時と有事の想定を見直す必要があろう。

・新型コロナウイルスショックで、グローバル化、ボーダレス化は後退しよう。米中貿易摩擦に端を発した貿易戦争は、コロナショックでウイルス戦争に入っている。人類共通の敵と、医療テックを携えて戦うべきであるが、政治的にはブロック化を加速することにもなりかねない。

・企業においては、プライベートな単独の企業価値向上だけでなく、新たな社会的価値も視野においた連携を強化していくことが望まれる。ESGの観点からは、働き方のBCP、リモート化が次のステージに飛躍しよう。

・個人のライフスタイルでは、クリーンで安全な生活の確保が一段と重視されよう。ウイルスはこれからも新型へ変質してくる。感染症は、がんや認知症とともに、うまく抑え込んで、何とか克服していく必要がある。

・投資家として、1年半前からトランプショックに備えてきたが、これがコロナショックで現実となった。このショック克服には3年をみておく必要があろう。一方で、投資のタイミングとしてはおもしろい局面に入る。

・分かっていることではあるが、いつ、どのように動くか。あわてる必要はない。濡れ手に粟はなく、あぶく銭身につかず。何よりも投資に対する信念(投資態度)を確認し、平常心で資産形成に取り組みたい。

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