「中国のGDPと今後の政策のポイント」

2016/01/22

今週の火曜日(1月19日)に中国のGDP(2015年第4四半期と2015年通年)が発表されました。中国情勢への不安が年初からの国内外の株式市場を下落させている要因のひとつとされているだけに、今回の発表はかなり注目されていました。

実際に中国国家統計局が発表したGDP成長率の結果ですが、まず、2015年第4四半期が前年同期比で6.8%でした。前回発表(第3四半期)の6.9%からはやや減速したものの、ほぼ市場の予想範囲(6.7%〜7.0%)と一致しています。また、2015年通年では前年比6.9%でした。中国政府の目標は「7%前後」を掲げていましたから、ほぼ想定通りです。

高い注目度の割には無難な内容でした。2016年から中国では「新5ヵ年計画」がスタートしましたので、「出足から悪い数字は出せない」というメンツもあったのかもしれません。とはいえ、強がって予想よりも強い数字を出せば、以前から指摘されている経済指標への信頼性が疑われますし、予想範囲の中で弱めの数値を出して、一応の目標達成をアピールしつつ、政策期待につながるバランスを保った印象です。

また、新5ヵ年計画の目標の一つに、「2020年までに一人当たりGDPを2010年比で2倍にする」というものがあり、その達成のためには5年間の平均GDP成長率を6.5%以上に維持する必要があるとされていますので、今後はこの6.5%が意識される数字になります。経済政策もこの数字に合わせて放たれる可能性が高そうです。

とはいえ、中国経済に対する国内外の警戒は根強いものがあり、2016年の中国株市場は年間を通して、「不安と落ち着き」を繰り返す展開を見込んでいます。相場の浮沈は中国当局の対応次第ですが、その当局は2016年に取り組むべき課題を「5大任務」としてまとめています。そのキーワードは、「三去・一降・一補」です。

少し細かく説明しますと、三去(生産過剰・生産コスト過剰・不動産在庫過剰の改善)、一降(金融システムの安定化)、一補(競争力の強化や成長分野の拡大)というもので、要は「問題を改善して警戒感を落ち着かせつつ、今後の成長の種を蒔こう」というわけです。中国が抱える課題の改善に積極的に取り組む姿勢を示すものですが、いざ実行に移すとなるとハードルは高そうです。

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