自律制御システム研究所<6232> 全地球測位システム(GPS)が使えない環境下でも飛行させることが強み

2019/01/16

自律制御して飛行する産業向けドローンを開発・販売
全地球測位システム(GPS)が使えない環境下でも飛行させることが強み

業種: 機械
アナリスト: 松尾十作

◆ 自律制御する飛行ロボットを開発及び販売
自律制御システム研究所(以下、同社)は、全地球測位システム(GPS)を利用しなくても飛行するドローン(小型無人機)を開発及び販売している。同社のドローンは、操作(制御)されて飛行するのではなく、ドローン自体が機体に備わっている監視カメラによる画像情報を基に自ら考え、自律制御技術により飛行する。用途別売上高は、インフラ点検向け、物流・郵便向け、防災・災害向けで、おおよそ1:1:1 である。

同社の事業区分は単一セグメントではあるが、サービス提供段階としてSTEP1 からSTEP4 までの4 つに区分されている。

STEP1:概念検証(ドローン活用の精緻化)
顧客がドローンを用いて実現したいことを、同社が具体的に提案する。提案はドローンを導入した場合の有効性を検証する内容である。同社が標準とするドローンを用いて飛行試験及び実演する内容も含むなど、単なるアイデアの提供に留まらない。

STEP2:カスタム開発(システム全体の設計及び開発)
STEP1 で顧客に提案した内容に沿ったドローンを新たに設計・開発する。その顧客仕様のドローンでの操作シミュレーションから機体の保守点検までも含めたシステム全体を設計して顧客に提案する。

STEP3:特注システム仮導入
生産した顧客仕様のドローンを、顧客先での試用結果によりドローン及びシステム全体をさらに改善し、運用方法を確立する。

STEP4:特注システムの量産
顧客先で同社のドローンを本格的に運用した場合、予備機を用意することもあり、殆どの場合年10台以上の生産供給となる。そうした案件をSTEP4としている。

同社はサービス提供別売上高として、サービス提供段階のSTEP1とSTEP2を「ソリューションの構築」として、STEP3とSTEP4を「量産機体の販売」として、そして「その他」に区分して開示している(図表1)。その他はドローン販売後の機体の保守点検料、及び消耗品の販売、スポットでのコンサルティング料などである。また、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技能総合開発機構)向けの一部のプロジェクトも含まれる。

国家プロジェクト向け、NEDO向けの殆どの案件の場合、新規技術の開発に係るものについては、補助金として受け取るため営業外収益で助成金収入としている。

同社の大口顧客(18/3期)としては、楽天(4755東証一部)、日本電信電話(9432東証一部)の子会社西日本電信電話、原田物産(東京都江東区)が挙げられる(図表2)。

同社は楽天とオリジナルのドローン「天空」を共同開発し、離陸してから目的地で荷物を下ろし帰還するまで全てが自動となっている。16年5月からゴルフ場でのデリバリーサービスを開始している。

西日本電信電話は、西日本電信電話の子会社であるエヌ・ティ・ティ ネオメイトと共同で、同社のドローンを使用した太陽光パネルの点検サービスを17年3月から開始している。

作業工具から産業機械まで扱う商社である原田物産は、顧客が建物及び橋梁の点検サービス等を行うため、または消防分野の機材として、同社のドローンを販売している。

NEDOとの関わりの一つとして、17年度から22年度までを委託期間とする「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」が挙げられる。同社が受託会社のなかの1社となっており、「ロボット・ドローン機体の性能評価基準等の開発」の受託案件については、売上高計上となっている。

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