オーウエル<7670> 安定的な事業基盤を有することが最大の強み

2018/12/20

工業用塗料中心の老舗の大手塗料商社で電子部品の卸販売も手掛ける
安定的な事業基盤を有することが最大の強み

業種: 卸売業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 独立系の大手塗料商社だが電気・電子部品商社としての事業も持つ
オーウエル(以下、同社)は、1943年11月に設立された老舗の大手塗料商社である。塗料メーカーの系列企業が多い中で独立系として展開していることを特徴とし、地場商社が多い業界にあって全国に拠点を持つ数少ない塗料商社である。また、塗料商社としての事業以外に、電気・電子部品の販売も行っている。

グループ会社全体で仕入先は約2,000社、販売先は約3,000社となっており、独立系の商社らしく、特定の顧客に依存しているわけではない。顧客業種別には売上高の約半分が自動車向けであり、鉄鋼、建設・建築、機械と続く。また、地域別には、日本87.4%、アジア10.9%、北米・中米・その他1.7%となっている。

同社の事業は、塗料関連事業、電気・電子部品事業の2つの報告セグメントに分類される(図表1)。直近の18/3期の売上高の78.1%が塗料関連事業によるもので、営業利益への貢献度合いも高く、全体の業績の安定感につながっている。

◆ 塗料関連事業
同社は塗料メーカー(塗料の供給側)と顧客メーカー(塗料の需要側)の間に位置する塗料商社として事業を展開している。塗料(表面処理剤を含む)の販売が売上の中心だが、化成品の販売や塗装機器の販売、塗装請負(工事)といった、塗料販売に付随する販売・サービスによる売上もある。

塗料は汎用塗料と工業用塗料に大別される。前者はホームセンター等で市販されているような主に建築用のものを指すが、同社の中での取り扱いは多くない。同社の主軸は、あくまで後者の工業用塗料である。

工業用塗料とは、生産ラインで連続的に量産される工業製品に使用される塗料である。工業用塗料は、塗料だけでは商品価値がほとんどない半製品であり、顧客メーカーの製品に塗装し、塗膜になって初めて商品価値が発生するという特徴を持つ製品である。顧客メーカーの生産ラインにおける塗膜形成のプロセスが非常に重要であり、同じ塗料であっても、塗装する素材の選択、塗り方、日々変わる塗る時の周囲環境等によって塗膜の品質が大きく変動する。

そのため、工業用塗料における塗料商社の役割は、単に商品を仕入れて販売するだけには留まらず、顧客の生産現場における塗膜形成のプロセスを支援することであり、長年の実績とノウハウの蓄積がものを言う分野である。塗料メーカーにとっては自社の代わりに顧客メーカーに技術支援をしてくれる存在であり、顧客メーカーにとっては生産現場において塗膜品質を最大限高めてくれる存在であり、それが付加価値となっている。

工業用塗料の代表例は、自動車用の塗料であろう。実際、同社の塗料関連事業の売上高の半分近くは自動車用となっている。

◆ 電気・電子部品事業
電気・電子部品事業は18/3期の売上高の約22%を占める。同事業では、ホールICと呼ばれる磁気センサーとLED照明製品を取り扱っている。

ホールICの用途は、車載向けと民生製品向けが主とされているが、同社の取り扱いは車載向けが中心である。同社はホールICの分野では世界的に有力な企業であるTDK-Micronas GmbHの有力代理店であり、営業・マーケティング、グローバル物流、品質検査等、電子部品商社としての役割で事業を展開している。

LED照明製品は、同社で設計・開発を行い、協力会社で製造し、同社のブランドで販売している。サインや工場構内の照明、植物プラント向けの製品が中心であり、自動車業界向けのものはほとんどない模様である。

◆ オーウエルの強み
同社の特色及び強みとして、(1)約3,000社の顧客を背景とした、景気変動の影響を受けにくい安定した事業基盤、(2)自動車業界で長年にわたって培われた課題解決力の蓄積、(3)顧客に寄り添う営業体制が挙げられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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