and factory<7035> 主なアプリは、マンガアプリ「マンガ UP!」
スマートフォンアプリの開発・運営や IoT 空間を楽しめるスマートホステルを展開
主なアプリは、マンガアプリ「マンガ UP!」
業種: サービス業
アナリスト: 佐々木 加奈
◆ スマートフォンアプリ事業を中心に展開
and factory(アンドファクトリー、以下、同社)は、14 年 9 月に設立された。 設立の翌月にイグニス(3689 東証マザーズ)からスマートフォンアプリケーシ ョン(以下、アプリ)「どこでもミラー」を取得して Smartphone APP 事業を開始 し、15 年 4 月にイグニスと資本提携をしている。
15 年 10 月に子会社 C-studio を設立し、16/8 期に連結決算に移行したが、 17 年 8 月に吸収合併し、17/8 期に単独決算となった。報告セグメントは、 Smartphone APP事業、IoT 注 1 事業に分類されており、両セグメントに含まれ ない事業セグメント(主に広告代理店事業)をその他としている(図表 1)。
◆ Smartphone APP 事業
他社が運営する人気スマートフォンアプリの攻略及びマルチプレイ注 2 のパ ートナーを募集する掲示板アプリ「最強シリーズ」を開発・運営している(図 表 2)。Apple Inc.の運営する「App Store」等の配信プラットフォームを通じて 提供している。
「最強シリーズ」の主な収益は、アプリの運営によって得られる広告収入であ る。広告収入は、同社のアプリ経由で対象ゲームアプリにおけるアイテム購 入に応じて発生するアフィリエイト注 3 収入と、アドネットワーク注 4 を通じ、アプ リ内に掲載する広告バナーのクリックに応じて発生する収入がある。
スクウェア・エニックスと共同開発したスマートフォン向けマンガアプリ「マン ガUP!」、株式会社白泉社(東京都千代田区)と共同開発した「マンガPark」 の開発・運営を行っている。「マンガ UP!」、「マンガ Park」は、協業先のア プリとして Apple Inc.の運営する「App Store」や、Google Inc.の運営する 「Google Play」等の配信プラットフォームを通じて提供している。
マンガアプリの主な収益は、アプリ内で販売する電子マンガのダウンロード 課金とアドネットワークを通じて得る広告収入である。
「最強シリーズ」や「マンガアプリ」の収益源は、各アプリの運営において得ら れる広告収入や課金収入であるため、MAU 注 5 の規模が収益に影響する。 同社の四半期毎の平均 MAU は、「マンガアプリ」の伸びが寄与して順調に 増加している(図表 3)。
◆ IoT 事業
同社は、複数の IoT デバイス注 6 の操作を可能とする IoT プラットフォーム注 7 アプリ「&IoT」を開発し、宿泊施設などに提供している。具体的には、1)スマ ートホステル「&AND HOSTEL」、2)宿泊施設向け IoT ソリューションサービ スの提供、3)宿泊施設以外への IoT ソリューションサービスの提供である。
1)スマートホステル「&AND HOSTEL」 様々な IoT デバイスを備えたスマートホステル「&AND HOSTEL」の企画・ 開発を行っている。ホステルとは、比較的安価で気軽に利用できる宿泊施 設を指す。一般的に、シャワーやトイレなどの設備が共同である一方、ゲスト が交流できる共有スペースを備えるのが特徴である。
「&AND HOSTEL」は「『世界とつながる』スマートホステル」をブランドコンセ プトとして、「IoT のある暮らし」、「文化や国籍、価値観などの境界線を超え た空間の提供」を目指している。18年8月末現在、福岡市、東京都(台東区 日本堤、台東区西浅草、台東区東上野、千代田区神田、千代田区岩本町) に6施設が営業しており、鍵を開ける、電気をつける、エアコンを設定するな どの操作がスマートフォン上の一つのアプリで実行でき、近未来の IoT ルー ムを体験できるのが特徴となっている。
「&AND HOSTEL」は、他者が保有する不動産に対し、同社が企画・開発を して展開する方法と、同社が不動産を取得して企画・開発をして販売し、展 開する方法がある。運営は、同社がホステルのオーナーから受託している。 同社の収益は、コンサルティングや不動産の仲介等を行うことによる対価、 運営受託に関する対価である。また、同社が不動産を取得して企画・開発し た「&AND HOSTEL」を売却した場合には、不動産販売収入となる。
2)宿泊施設向け IoT ソリューションサービスの提供 宿泊管理システム「innto(イントゥ)」及び宿泊施設専用タブレットサービス 「tabii(タビー)」の開発及びサービス提供を行っている。
「innto」は、同社がオープンイノベーション注 8 パートナーと共同開発した、宿 泊施設の予約や、残室数、料金といった情報を一元管理する簡易宿所向 けの宿泊管理システムである。簡易宿所向けに特化したクラウド型システム であることから、規模の大きなホテル等が使用する宿泊管理システムと比べ て導入費用やランニングコストを低く抑えることができ、操作も簡単なのが特 徴である。「innto」の収益は、パートナー企業を通じたレベニューシェア注 9、 パートナー企業から収受するシステム保守・運用料である。
「tabii」は、同社の開発した客室備え付けのタブレットを通じて、宿泊施設の 館内案内、周辺情報、動画視聴などのサービスを提供するシステムである。 「tabii」の収益は、タブレットへの広告掲載料である。
3)宿泊施設以外への IoT ソリューションサービスの提供 宿泊施設におけるIoTサービス展開の実績を活かし、シェアハウスなどにお ける IoT サービスの提供に取り組んでいる。
◆ その他の事業
他社が運営するスマートフォンアプリやメディアの掲載媒体とした広告配信 サービスに関する広告代理事業等を行っている。