アクリート<4395> 法人向けの SMS 市場の拡大を先導する形での成長が続く見通し

2018/08/10

法人向けショートメッセージ配信サービス(SMS)のリーディングカンパニー
法人向けの SMS 市場の拡大を先導する形での成長が続く見通し

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 法人ユーザー向けショートメッセージ配信サービスのパイオニア
アクリート(以下、同社)は、法人ユーザー向けにショートメッセージ配信サー ビス(SMS)を展開する企業である。同社のサービスは、インディゴ(東京都 世田谷区)が11年6月にLINE(3938東証一部)に対して提供を開始した、 携帯電話番号を用いたショートメッセージ配信による個人認証サービスが源 流である。その後、14 年にインディゴから会社分割する形で同社が設立さ れた。インディゴの一部門としての時代を含め、法人ユーザー向けのショー トメッセージ配信サービスのパイオニアであり、リーディングカンパニーとして のポジションを確立している。

同社の事業は、SMS 配信サービス事業の単一セグメントとなっている。

◆ SMS(ショート・メッセージ・サービス)とは
SMS は Short Message Service(ショート・メッセージ・サービス)の略であり、 相手先の電話番号だけで全角70 文字の文字情報を送受信できるサービス である。サービス形態として、個人の携帯端末間でやり取りを行う P2P (Person to Person)-SMSと、公共機関や自治体を含む法人から消費者へ送 信する A2P(Application to Person)-SMS の 2 種類がある。

元々は同一キャリア内の個人間の P2P-SMS しか存在しなかったが、11 年 7 月の通信事業者の相互接続が開始された後に、A2P-SMS 市場が形成され 始めたと言われている。アプリのインストールを必要としないSMSは、スマー トフォンの普及に伴い、多くの利用者がメッセージを受け取ることが可能な 手段となってきた。

◆ 事業構造
消費者に対してショートメッセージを送りたいユーザー企業は、API接続注か、 配信依頼のどちらかの方法により、必要なショートメッセージの配信を手配 する。そのユーザー企業からの配信手配内容に応じて、同社は携帯電話事 業者の回線に直接接続し、消費者へショートメッセージを配信する。なお、 ユーザー企業が海外企業の場合は、海外にある SMS アグリゲーターが必 ず間に入る(図表 1)。

同社はユーザー企業から、システム利用料として、月額基本料金等の固定 料金のほか、1 通当たり販売単価と配信量の掛け算で算出される従量課金 の料金を受け取り、売上高としている。

一方、携帯電話事業者の回線に直接接続する際に、携帯電話事業者から 回線を仕入れる形で、同社は回線利用料を支払う。ほかに、人件費や他社 システムの利用料(支払手数料)、SMS 配信システムの減価償却費が加わ り、同社の原価が構成される。

同社の SMS 配信システムの接続先は、(1)国内のユーザー企業と直接接 続、(2)国内の販社や代理店経由での間接接続、(3)海外 SMS アグリゲー ターとの接続の 3 種類となる。(3)が大きく増えた 17/12 期は、売上高の約 3 分の 2 が(3)海外 SMS アグリゲーター経由となっている。また、残りの 3 分 の1 が国内ユーザー企業向けとなるが、その多くが(1)ユーザー企業との直 接接続となっている模様である。

◆ アクリートの強み
同社の特色及び強みとして、(1)法人向け SMS 配信サービスのパイオニア としての携帯電話事業者との強い関係、(2)配信の正確性や安定性を担保 する自社開発の SMS 配信システムの存在、(3)SMS 配信の用途開拓力及 びユーザー企業への提案力、(4)競合他社は行っていない海外SMSアグリ ゲーターとの関係構築が挙げられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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