キャンディル <1446> 顧客は大手住宅メーカーや店舗施工業者など幅広い
建物の修繕・改修・維持・管理に資するサービスを提供
顧客は大手住宅メーカーや店舗施工業者など幅広い
業種: 建設業
アナリスト: 松尾 十作
◆ 建築サービス関連事業を展開
キャンディル(以下、同社)グループは、純粋持株会社である同社と連結子 会社であるバーンリペア、キャンディルテクト、キャンディルデザインの3社で 構成されており、建築サービス関連事業を展開している。単一セグメントだ が売上高は、リペアサービス、住環境向け建築サービス、商環境向け建築 サービス、商材販売の 4 つに分類されている(図表 1)。
リペアサービスは、建物における内装建材、家具等に発生した傷や不具合 を、部品交換することなく補修するサービスである。新築住宅であっても、施 工中に小さな傷や不具合が発生することは避けられず、1 戸当たり 10 数カ 所から 100 カ所の小さな傷や不具合があると言われている。
例えば、施工中に傷をつけたフローリングの床の修理では、貼り換えると工 期が3日間(費用約30万円)かかるところ、リペアサービスでは5時間(費用 3.8 万円)で済む場合がある。こうした利便性から、大手の住宅メーカー等が 同社の顧客となっている。サービス対象物は、住宅のみならず商業施設、 寺社仏閣や文化遺産など多岐にわたっている。約 19,000 社と取引がある。
ビジネスモデルとしては、大手住宅メーカーやゼネコン、建築関連業者など からの依頼で、同社の従業員、もしくは同社から独立した元従業員などの協 力業者が現場に赴いてリペアサービスを提供している。技術者を効率的に 稼働するためのシステムを構築している。
住環境向け建築サービスとしては、新築住宅を顧客に引き渡した後のアフ ター定期点検や各種メンテナンスサービス、小規模のリフォームの設計・デ ザイン・施工を行うサービス、住宅設備等や施工時に発生した不具合に対 し、一斉に対応するリコールサービスがある。顧客及び住宅の居住者からの 問い合わせ窓口として、3カ所(東京、大阪、沖縄)、約150名体制のコール センターを自社で運営している。また、新築住宅の企画・設計、施工、検査 等のサービスも行っている。
ビジネスモデルとしては、リペアサービスを利用している住宅メーカー等に 対し、「アフター定期点検」サービスの提案を行い、契約を獲得している。積 み上げ型・継続型のビジネスモデルである。17/9 期末のアフター定期点検 サービスの顧客は 108 社、26 万戸あるが、毎期約 5 万戸ずつ増加してい る。
商環境向け建築サービスとしては、商業施設の内装仕上げ工事、オフィス 移転時の家具や什器の設置、内装変更等のサービスを提供している。対象 となる物件・施設は住宅に比べて大規模であるため、短期間に多数の人材 が必要となる。同社は正社員に加え、多数の登録スタッフを動員して顧客の 依頼に対応している。全国展開している携帯電話会社のブランド販売店や コーヒーショップの店舗を一斉に内装変更するサービスもしている。また、世 界最大の家具量販店の日本国内における家具の組立サービスも請け負っ ている。
商材販売では、補修材料とインテリア商材を販売している。補修材料はリペ アサービスで使用しているもので、海外メーカーと代理店契約を締結し、全 国のホームセンターや量販店、EC サイトでも販売している。インテリア商材 は、内装設計やインテリアデザインの提案に合わせた照明機器やカーテン などの販売を行っている。
同社は、現代表取締役社長である林晃生氏が 95 年に設立したバーンリペ アから始まる。建物の修繕・改修・維持・管理に資するサービスを提供する ため M&A で業務の幅を広げてきた。バーンリペアが戸建て住宅に強みを 持つリペアサービス及び住環境向け建築サービスや商材販売を、キャンデ ィルテクトが集合住宅に強みを持つリペアサービス及び住環境向け建築サ ービスや商環境向け建築サービスを、そしてキャンディルデザインが住環境 向け建築サービス、商材販売を行っている(図表 2)。
キャンディルテクトの 17/9 期当期純損失は、繰延税金資産の取り崩しによる 法人税等調整額の計上によるものである。
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