スマートバリュー<9417> 当面はクラウドソリューション事業の注力分野の進捗に着目していく局面

2018/05/10

クラウドソリューション提供と携帯電話販売代理店運営の二本柱で展開
当面はクラウドソリューション事業の注力分野の進捗に着目していく局面

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・スマートバリュー(以下、同社)は、現在、クラウドシステムによるソリューション提供と携帯電話販売代理店運営を主に展開をしている。
・ 90年の社歴を持つファミリー企業だが、90年代に現社長と現会長への事業承継後の事業ポートフォリオ転換の経緯が特徴である。

2.財務面の分析
・10/2期~17/6期のうち、事業子会社統合後の13/6期以降、売上高は1.8%、経常利益は21.2%の年平均成長率で毎期増収増益を続けてきた。17/6期を除くクラウドソリューション事業の増収のほか、売上高が伸びない中でのモバイル事業の収益性改善が全体の増益を牽引した。
・携帯電話販売代理店運営事業と別の事業を併営する上場企業と比較すると、同社の収益性は高い方に位置し、同時に経常利益の成長性の高さが目立っている。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「事業ポートフォリオ構築に関する知見」と、その構築・変更を推進してきた現社長・会長の兄弟による経営にある。自社の経営資源や強みに対する的確な認識のものと、事業領域の最適化が続けられてきた。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、クラウドソリューション事業におけるイノベーションの創出と、そのための人材育成を中心とした体制強化が挙げられる。
・同社はクラウドソリューション事業の拡大を軸とした事業戦略を描いている。既に展開している「オープンガバメント」と「モビリティ」をテーマとしたサービスの拡大を進めることが当面の目標となるが、中長期では、イノベーション創出による新規領域への展開を模索するとしている。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、事業ポートフォリオ転換時の「やるべきこと」と「できること」の狭間でのバランス感覚の良い経営判断力を評価する。
・当面はクラウドソリューション事業の地域情報クラウドとモビリティ・サービスのサービス拡張の進捗を見ていく局面だが、一方、事業構成が一気に変わる局面を迎える可能性が残る点には注意を払っておきたい。
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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。