和心<9271> 18 年 12 月期会社計画は出店増による高成長を想定

2018/04/11

日本文化の良さが伝わる和装小物販売と良さを体験する着物レンタルを展開
18 年 12 月期会社計画は出店増による高成長を想定

業種: 小売業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 日本文化の良さを伝える事業を展開
和心(以下、同社)は「日本の文化」を事業テーマとし、「日本文化を感じる モノを作り販売する」モノ事業と、「日本文化の良さを体験してもらう」コト事 業を展開している。現在、モノ事業では和装小物の販売、コト事業では着物 レンタルが行われている。

両事業とも、インターネットを集客手段の中心に据え、国内の主要観光地に ドミナント出店を展開することを特徴とする。また、モノ事業とコト事業の相互 送客によって売上高の拡大を図っている。

同社の事業は、モノ事業とコト事業の 2 つの報告セグメントに分類される(図 表 1)。17/12 期の売上高の 72.8%がモノ事業によるものだが、コト事業の拡 大により、モノ事業の売上構成比は低下傾向にある。

◆ モノ事業
モノ事業は、企画・デザインから製造、販売に至るまでを自社で行う製造小 売(SPA 注 1)の事業形態をとっている。

実店舗を構える小売部門では、「かんざし屋 wargo」(かんざし)、「かすう工 房」(和柄のシルバーアクセサリー)、「北斎グラフィック」(傘)、「箸や万作」 (箸)、「ゆかた屋hiyori」(浴衣)、「おびどめ屋wargo」(帯留め)の6ブランド を有し、「かんざし屋 wargo」、「北斎グラフィック」、「箸や万作」、「WARGO 注 2」の4業態で出店している。17/12期末で44店舗を展開している(図表2)。

実店舗以外として、「wargo NIPPON」、「アニミックスタイル」の 2 つの自社媒 体及び、「Amazon」や「Yahoo!ショッピング」の他社媒体を通じた EC 販売も 行っている。

OEM 部門では、サブカルチャーコンテンツを手掛ける企業等に対して、 OEM 製品の提供を行っている。SPA として展開してきたことで培われてきた、 低原価・高品質・小ロットの生産が可能な体制を利用したものである。17/12 期は、109 社との取引で 500 件のグッズ制作を行った。

モノ事業の売上高は全社売上高の 72.8%を占める。その内訳は、EC 販売 を含めた小売部門が 60.8%、OEM 部門が 12.1%となっている。

◆ コト事業
コト事業は、「きものレンタル wargo」の業態で、京都をはじめとした主要観光 地で着物レンタルを行っている。17/12 期末の店舗数は 11 店舗となった(図 表2)。訪日外国人の利用率を表すインバウンド比率は27.3%となっている。

◆ SPA であることが最大の強み
同社の特色及び強みとして、企画・デザインから製造、販売に至るまでを自 社で行う製造小売(SPA)の事業形態をとっている点が挙げられる。さらに、 ウェブ集客や店舗の空間設計も内製化することにより、モノ事業では平均約 10 カ月、コト事業では平均約 6 カ月という短期間で投下資本を回収してい る。

また、訪日外国人向けを重視している点も強みと言えよう。コト事業では、12 カ国語で情報発信を行い、言語ごとに検索結果の上位に来るよう SEO 注 3 対策を行っている

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