アジャイルメディア・ネットワーク<6573> 無報酬のアンバサダーのクチコミにより企業の知名度向上や商品の販売を促進

2018/04/06

テレビCMや新聞、雑誌等の広告宣伝に頼らない新たなマーケティングを手掛ける
無報酬のアンバサダーのクチコミにより企業の知名度向上や商品の販売を促進

業種: サービス業
アナリスト: 松尾十作

◆ 知名度の向上や販売促進支援のシステムを提供
アジャイルメディア・ネットワーク(以下、同社)は、SNS注1を利用し、企業や商品ブランド、サービスのファン(アンバサダー)から発信される好意的な利用体験や購入の推奨等クチコミを利用した販売促進支援システムを提供している。同社はアンバサダー事業の単一セグメントで、連結子会社はなく、連結財務諸表は作成していない。また、関連会社もない。

テレビCMや新聞及び雑誌等の広告宣伝では、成熟した市場において商品ブランドやサービスの価値を十分に伝えることが難しいと同社は考えている。インターネットの普及以前より商品やサービスの評判を伝える、いわゆるクチコミは、購買選択に影響を与える情報とされている。インターネットが普及するにつれ、Twitter やInstagram 等SNSを利用したクチコミの拡散が進んでいるが、同社はそうした新しい拡散方法を利用している。

企業が提供する商品や製品、ブランドやサービスに好感を持ち(いわゆるファンとなること)、無報酬注2で自発的に自分の満足を発信したり、企業や商品・製品、ブランド、サービスを推奨する人を、同社はアンバサダーと定義している。周りの人に対して影響度合いの高いアンバサダーを組織化し、知名度の向上や商品・製品、ブランド、サービスを販売促進するシステムを、同社は構築している。

SNSを利用したクチコミにおいて、企業や商品ブランド、サービスに影響を与える人では、アンバサダーの他にインフルエンサーがある。インフルエンサーとは、有名人・著名人など発信力のある個人を指している。アンバサダーとの違いは、企業や商品・サービスブランドとのつながりが少ない可能性がある点である。

アンバサダー事業では、3つのサービスを提供している。アンバサダープログラム、レビューズ、アライアンスサービスである。

アンバサダープログラムは、ファンを発見、ファンが発する口コミの拡散度合いの分析、ファンを育成するプログラムを提供している(図表1)。レビューズは、得意分野を持つファンを選別し、SNSでの影響度合いの効果測定をしている。アライアンスサービスは、アンバサダープログラムを導入している企業との共同事業による付加価値の高いサービスを提供することである。これら3つのサービスを提供する基幹システムが同社独自のアンバサダープラットフォームである。

アンバサダープログラムを導入している企業は日本ケロッグ、ネスレ日本、ライオン(4912東証一部)、ハーゲンダッツジャパンなど、消費者を顧客とする大手企業が多い。

アンバサダー事業の売上高は、アンバサダープラットフォームの月額利用料と、アンバサダーを活性化するイベント等の実施に応じて発生する提供料から構成されている。月額利用料と提供料との比率は、凡そ半々の模様である。

アンバサダープログラム導入企業との契約は、同社が直接契約している場合と代理店経由の場合がある。代理店は、電通(4324東証一部)の完全子会社である電通デジタルなど複数存在する。17/12期における代理店経由の売上高比率は2割程度である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。