イノベーション<3970> 18 年 3 月期会社計画の下方修正からの立て直しが今後の焦点
法人営業プロセスの非効率をなくすためのソリューションを提供
18 年 3 月期会社計画の下方修正からの立て直しが今後の焦点
業種:情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・イノベーション(以下、同社)は、法人営業プロセスの非効率をなくすソリューションを提供している。見込み客獲得のオンラインメディア事業と、見込み客を購入につなげるまでのクラウドサービス事業で構成されている。
2.財務面の分析
・12/3期~17/3期の年平均成長率は、売上高が2.1%、経常利益が44.2%であった。一部事業から撤退したため、15/3期~17/3期は減収が続いた。撤退準備の費用増で14/3期は一旦経常赤字となったが、撤退の影響がなくなった17/3期には大幅増益となった。
・法人営業の効率化に資するサービスを提供する上場企業との比較では、総資産の成長性の高さと、安全性指標の固定長期適合率の低さが目立つ。3年前の経常赤字から黒字へ転換する局面にあったことと、少ない固定資産で事業を展開している状況がうかがえよう。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、前職での経験から事業を創出した創業社長(人的資本)にある。同社は創業当初から主力事業を変えながら成長してきたが、その過程で法人営業のノウハウの蓄積やサービスを提供するプロセスの確立を進めて組織資本を醸成していき、顧客資産の蓄積へとつなげていった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、オンラインメディア事業における認知度の向上、開発力の強化、アライアンスの強化が挙げられる。
・オンラインメディア事業でのサイト来訪者数の増加、セールスクラウド事業での「List Finder」の拡販が当面の成長戦略の中心となろう。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、中堅・中小企業向けの法人営業プロセスに特化した立ち位置と、事業ポートフォリオの柔軟な入れ替えができる体制が競争力の源泉と評価している。一方、事業環境や中期的な事業ポートフォリオ入れ替えの可能性から、短期でも中期的でも業績の変動幅が想定以上に大きくなる可能性がある点には留意したい。