神戸天然物化学<6568> 研究、開発、量産を一貫して手掛けるビジネスモデルを構築
化合物の合成に特化した事業展開で顧客の研究開発をサポート
研究、開発、量産を一貫して手掛けるビジネスモデルを構築
業種: サービス業
アナリスト: 小枝 善則
◆ 有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業
神戸天然物化学(以下、同社)の事業内容は、顧客である化学会社や 製薬会社などから研究、開発、量産の各段階における有機化学品の合 成を受託し、必要なサンプルや製品を供給することである。
化学品の研究開発は、目的の機能をもつ化合物の化学構造を考え、そ れを合成して、その機能を評価するというサイクルを繰り返すが、合 成の部分を同社が分担することによって、顧客は機能を考え、それを 評価することに経営資源を集中することができる。
同社は基本的に顧客が要望する化合物は殆どすべてが合成可能である が、化学品の取扱いに関して、産業分野によって特有の法規制や業界 基準が存在するため、対象分野を需要が多い医薬医療分野及び情報電 子分野に絞っている。17/3 期の事業部門別売上構成比は機能材料事業 部門が 49%、医薬事業部門が 37%、バイオ事業部門が 14%となってい る(図表 1)。
機能材料事業部門は化学メーカーなどを顧客とし、有機 EL や半導体材料、 省令の規制対象外となっている医薬用原料などの研究開発支援を行って いる。医薬品に比べると規制が緩く、2000年代半ばには化合物の量産体制 を整えており、同社の事業部門のなかでは最も高い利益率を確保してい る。
医薬事業部門は医薬品メーカーなどに、医薬原薬、治験原薬注及びそれら の中間体となる化合物を提供している。またバイオ事業部門は有機合成化
学では対応できないバイオテクノロジーを用いた化合物の合成を手掛け、 将来的には市場の成長期待が大きいペプチドや核酸医薬などの中分子医 薬の領域をターゲットとしている。
◆ リーマンショックが転機
同社は 1985 年に現社長の広瀬克利氏によって設立された。当初は試薬の 実験材の合成からスタートしたが、徐々に研究分野を拡大させていった。08 年のリーマンショックまでは順調に成長し、機能材料の量産も手掛けるよう になっていたが、どちらかと言えば、研究・開発のステージが主であった。
しかし、リーマンショックによる顧客企業の研究開発費削減が同社にも大き な影響を及ぼし、量産まで一貫して受託するビジネスモデルを強く志向する ようになった。