力の源ホールディングス<3561> 海外での多地域展開と国内での新規業態の浸透が今後の成長の鍵を握る

2018/03/09

「一風堂」を旗艦ブランドとし、ラーメンを中心に日本食文化を内外に発信
海外での多地域展開と国内での新規業態の浸透が今後の成長の鍵を握る

業種: 小売業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・力の源ホールディングス(以下、同社)は、「一風堂」を主力に、ラーメンを 中心とした飲食店チェーンを運営している。海外展開に積極的で、18/3 期第 3 四半期末の店舗数は 217 店舗(国内 140、海外 77)である。

 2.財務面の分析
・持株会社への移行や決算期変更で、15/3 期から現在と同内容での開示 となった。16/3 期は国内での原価率改善が、17/3 期は海外での収益性 改善が前期比増益を牽引した。
・ラーメン店業態での多店舗展開をする上場企業、海外進出に積極的な 上場外食企業との比較では、特に優位性がある財務指標はなく、上場直 後ながら財務の安全性指標のひとつである自己資本比率が他社より低 いことが目立つ。

 3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、創業時のコンセプトをもとに磨き上げられて きた「一風堂」ブランド(関係資本)にある。そのブランド力を支えるのが、 店舗運営を支えるプロセス(組織資本)であり、店舗数の拡大と日本の麺 文化の浸透を通じて、国内外で顧客資産が蓄積されてきた。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、国内では既存店の強化、次の収益の柱となる業 態の開発・育成、生産・製造や流通体制の強化、海外では進出先ごとの 展開方法の最適化が挙げられる。
・25 年までに国内 300 店舗及び海外 300 店舗の実現と、暖簾分けによる 100人の経営者の創出を目標としている。上述の国内外での課題に対処 し、経営効率性の向上を図っていくとしている。

 5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、「変えるもの」と「変えざるもの」を巧みに使い 分けてきたことが、「一風堂」のブランド力の蓄積につながってきた点を評 価している。当面は、国内では多ブランド化、海外では多地域展開を進 めていくことになろうが、それらが中期的な収益性改善にどのようにつな がるかに注目していきたい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。