ジェイテックコーポレーション<3446> 大学や公的研究機関の最先端研究成果を量産、事業化するビジネスを展開

2018/03/02

X 線を利用した基礎研究施設向けの集光ミラーが収益の柱
大学や公的研究機関の最先端研究成果を量産、事業化するビジネスを展開

業種: 金属製品
アナリスト: 小枝 善則

◆ X線ナノ集光ミラーとバイオ関連機器の製造販売 ジェイテックコーポレーション(以下、同社)のセグメントはオプティカル事業 とライフサイエンス・機器開発事業に分かれる(図表 1)。同社は前者を現在 の収益の柱、後者を将来の成長ドライバーと位置づけている。

オプティカル事業では、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」、X 線自 由電子レーザー施設「SACLA」などで使われる X 線ナノ集光ミラー注1の製 造販売を主力としている。放射光施設を利用すると大学の研究室などにあ る検査装置が発する X 線よりも物質の種類や構造、性質を詳しく分析でき るため、近年は基礎科学研究分野だけでなく、医学利用、医薬品設計、材 料評価など産業利用ニーズも高まり、施設の利用者が年々増加している。

同社の製品はナノメートルのスケールで集光できる超高精度な点が評価さ れており、現在は欧米やアジアなど海外の研究施設向けが売上の8割超に のぼっている。また、オプティカル事業における優れたナノ加工技術や測定技術を活かして、半導体などこれまで手掛けていなかった産業分野への製 品展開を図ろうとしている。

ライフサイエンス事業では iPS 細胞などの自動細胞培養装置をはじめバイ オ関連を中心に各種細胞培養注2装置の開発・製造・販売を手掛けている (製造は外部の協力会社に委託している)。顧客は大学や製薬会社、再生 医療ベンチャーといった先であり、現在のところ国内向けが中心である。ま たかつては顧客ごとのニーズに対応した高価なカスタムメイドで展開してい たが、iPS ポータル社と iPS 細胞専用の自動細胞培養装置の開発に成功し、 17 年 4 月から量産汎用タイプを本格的に市場投入した。

機器開発事業では、バイオ・医薬品にとどまらず半導体関連、化学、機械加 工、印刷など幅広い分野の自動化装置・システムの委託開発、製造・販売 を行っている。

◆ 2005年に大阪大学と理化学研究所の研究成果を事業化 同社は、オンリーワンの技術による製品を作ることを目指し、現社長の津村尚 史氏が大阪コンピュータ株式会社と共同出資により 93 年に設立された。当初 は大手企業と共同で創薬向け自動細胞培養装置の開発を行っていたが、同 時に産学連携を積極的に推進した。05年に大阪大学と理化学研究所が世界 で初めて硬 X 線注3を限界まで集光させる X 線ナノ集光ミラーの開発に成功 し、これを実用化したことが同社にとって大きなブレークスルーとなった。

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資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。