オプティマスグループ<9268> ニュージーランド向け輸出に関連するサービスが事業の中心
海外自動車ディーラー向け中古自動車輸出に関する総合サービスを提供
ニュージーランド向け輸出に関連するサービスが事業の中心
業種:卸売業
アナリスト:髙木 伸行
◆ 中古自動車輸出に関する一連の業務を行う
オプティマスグループ(以下、同社)の企業集団は、同社、子会社 26 社、関 連会社 1 社により構成されている。中古自動車(以下、中古車)の輸出に関 する貿易、物流、サービス及び検査といった一連の業務を行っている。
社名のオプティマス(Optimus)はラテン語で最善、最適を意味し、同社グル ープが提供する商品やサービス、或いは事業に取り組む姿勢について最 善、最適を求めていきたいとの想いから「Optimus」を社名に取り入れた。
◆ 顧客のニーズに応えるかたちで事業領域を拡大
同社グループは 1988 年 4 月に、代表取締役社長の山中信哉氏が伊勢海 老などの水産食品の輸出入事業を目的に日貿・ジャパントレーディング(現 日貿)を設立したことから始まった。89 年 5 月より、自動車組立産業の保護 から市場開放へと政策を変更していたニュージーランド向けに日本の中古 車を輸出するビジネスを本格的に開始した。
ニュージーランドは左車線・右ハンドルのため日本車が受け入れられる素地 があり、同社グループの取扱台数が増加するなか、顧客のニーズに応える かたちで、船積前検査、非船舶運航事業(以下、NVOCC)注 1、債権回収補 助業務等、中古車輸出に関連するサービスへと事業領域を拡大してきた。 また、ニュージーランドでは、事業ごとに会社を設立するという商慣習がある ため、同社グループも事業ごとに会社を設立してきた。
事業が多角化するなか、意思決定の迅速化、重複する経営機能の効率化、 経営資源を適切に配分できる体制を作ることを目的に、15 年 1 月に日貿の 単独株式移転により純粋持株会社である同社が設立された。
◆ 自動車関連総合企業
同社グループのセグメントは(1)貿易事業、(2)物流事業、(3)サービス事業、 (4)検査事業からなり、中古車の仕入から、アフターサービスに至るまでの 各種サービスを一貫して提供している(図表 1、図表 2)
(1)貿易事業
貿易事業としては、ユー・エス・エス(4732 東証一部・名証一部)等が運営す る国内のオートオークション会場で中古車を仕入れ、主にニュージーランド のディーラーに販売している。中古車は車輛ごとに状態が異なるため、適正 価格で落札するには、いわゆる目利き力が必要になる。また、仕入れから顧 客への販売まで同一の専門スタッフが担当するため、顧客の細かいニーズ にも応えた仕入れを行うことができる。
同事業における中古車の販売台数は、14/3 期は前期比 63.3%増、15/3 期 は同39.6%増、16/3期は同6.0%増、17/3期は同4.0%減という推移で、17/3 期の販売台数は 41,645 台であった。
(2)物流事業
物流事業では日本から海外に輸出する中古車を NVOCC として、輸送して いる。海上輸送に加え清掃・整備業務、通関といったサービスも提供してお り、対価はディーラーから受け取っている。同社は船舶を所有していないた め、船舶の積載スペースを賃借している。17/3 期の海上輸送仕入高(積載 スペースの賃借費用)の79.3%をトヨフジ海運注 2が占めており、残りは他の2 社から調達している。トヨフジ海運への依存度が高いものの、積載スペース の仕入先に対しては交渉力があると同社は認識している。
(3)サービス事業
サービス事業としては、ニュージーランドのディーラーや生活者向け事業を 行っている。ディーラーに対しては債権回収補助業務、生活者向けには自 動車ローン事業、新車の自動車販売、レンタカー事業などを行っている。
(4)検査事業
検査事業は、国内に 1 社(日本輸出自動車検査センター)とニュージーラン ドには Vehicle Inspection New Zealand Limited を始めとする 4 社の合計 5 社の連結子会社により運営されている。検査という業務の性格上、独立性 や中立性、高い検査能力が求められるが、日本輸出自動車検査センター はニュージーランド第一次産業省(Ministry for Primary Industries)の、 Vehicle Inspection New Zealand Limited はニュージーランド運輸庁(New Zealand Transport Agency)の認定機関となっている。
日本輸出自動車検査センターは中古車輸出をする際の船積前検査業務注 3 を行い、横浜、名古屋、大阪、神戸及び門司の主要港湾の港頭地区に検 査施設を保有している。日本輸出自動車検査センターには、9 月末時点で、 路上適格性検査を行うために必要な整備士資格 3 級以上を取得している 正社員が 35 名、ニュージーランド運輸庁が定めた資格を持つ正社員が 37 名在籍している。