イオレ<2334> 蓄積されたユーザー資産をもとにアドテクノロジー企業への進化を図る

2018/01/12

日本最大級の連絡網サービス「らくらく連絡網」を運営
蓄積されたユーザー資産をもとにアドテクノロジー企業への進化を図る

業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太

◆ 日本最大級の連絡網サービス「らくらく連絡網」を運営
・イオレ(以下、同社)は、主力サービスの「らくらく連絡網」を中心に、インターネットメディア関連事業を行っている。

「らくらく連絡網」は、学生サークルやPTA等の団体やグループのコミュニティ内のコミュニケーションをサポートする、日本最大級の連絡網サービスである。これまで口コミ主体で普及が進み、17年9月末時点で38万団体669万人のユーザーがおり、大学生・大学院生の4人に1人が利用している(図表1)。

「らくらく連絡網」には、グループ内でのスケジュール調整やイベントの出欠確認、アンケート等の機能があり、一部の有料サービスを除き、ユーザーは基本的には無料で利用できる。その代わり、ユーザーに向けて広告の掲載や配信がなされ、広告主企業から得られる広告収入が主な収益源となる。

◆ 「らくらく連絡網」をベースに展開されるサービス
・「らくらく連絡網」によって蓄積されたユーザー資産をベースに、「ガクバアルバイト」、「らくらくアルバイト」、「pinpoint」といった周辺サービスが展開されている。

「ガクバアルバイト」は、大学生に特化したアルバイト求人情報サイトであり、同社の自社媒体として運営されている。求人企業から広告掲載料を中心とした広告収入を受け取るビジネスモデルである。新規登録者は17/3期10万人、18/3期第2四半期累計期間(以下、上期)6万人と拡大している。

「らくらくアルバイト」は、アルバイト求人情報ポータルサイトである。提携したアルバイト求人サイト運営企業(提携企業)が持つ情報を掲載する。提携企業のサイトへの送客に応じた成功報酬型の広告収入を、提携企業から受け取る。20~30代のフリーターや主婦層が主な対象で、18/3期上期末の登録会員数は120万人である。

「pinpoint」は、「らくらく連絡網」のユーザー670万人に、提携企業から提供されたものを加えた1,000万人以上のユーザーデータを活用して広告配信を行うDSP注1サービスである。自社開発したプライベートDMP注2の「pinpoint DMP」により、収集したデータを統合、管理、分析し、広告効果の精度向上につなげている。広告主の広告予算が売上高、広告配信先への支払いが主な費用となるビジネスモデルだが、費用が発生する分、他のサービスに比べて売上総利益率は低い。

「その他」には、他社の広告媒体における広告枠の販売や、大学構内でのフィールド系広告の販売を行うセールス・プロモーションが含まれる。こちらも広告枠の仕入れが発生するため、他のサービスに比べて売上総利益率は低い。

「pinpoint」の広告配信サービスは15/3期に開始された。立ち上がりはやや苦戦したが、17/3期に売上高が伸びた結果、17/3期の売上構成比は「らくらく連絡網」を上回るようになった。「その他」には広告枠の販売が含まれ、「らくらく連絡網」以外のサービスの伸びとの連動性があるため、売上構成比を上げている(図表2)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。