中村超硬 <6166> 当面の焦点は 18 年 3 月期の業績急回復の動向

2017/10/02

太陽電池用のウエハ切断に用いられるダイヤモンドワイヤの製造が主力
当面の焦点は 18 年 3 月期の業績急回復の動向

業種:機械
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・中村超硬(以下、同社)は、ダイヤモンドの微細加工技術をコア技術とす るメーカーで、現在の主力事業は、太陽電池用のシリコンウエハのスライ ス加工の工程で用いられるダイヤモンドワイヤの開発、製造である。

2.財務面の分析
・11/3 期~17/3 期は、売上高は年平均 27.4%増のペースで拡大した (13/3 期から連結決算)。利益を見ると 11/3 期、15/3 期、16/3 期以外は 経常損失となり、赤字と黒字を繰り返す展開が続いてきた。
・財務指標の比較では、収益性、安全性は他社を下回り、他社を上回る のは成長性の指標に限られる。17/3 期の赤字業績は、他社より業績の 変動幅が大きい業容が改めて浮き彫りにされたものと言えよう。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、現社長主導による事業転換の実行力にあ る。現在の主力事業であるダイヤモンドワイヤも、コア技術を踏まえた上 で推進された事業転換により創出された事業である。事業化の際は産 学連携や各分野の OB 人材の活用等の関係資本を駆使することが多く、 得られた知見が知的財産として蓄積する好循環が築かれている。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題としては、主力のダイヤモンドワイヤでは、顧客ポートフ ォリオの再構築、技術革新や価格競争激化への対応が挙げられ、全体 では、ダイヤモンドワイヤへの過度の依存からの脱却が挙げられる。
・ダイヤモンドワイヤでは、急拡大する多結晶シリコンウエハ市場への対 応、単結晶シリコンウエハでの高付加価値品の拡販の二面展開を進め ている。一方、ダイヤモンドワイヤ以外の新規事業の事業化にも取り組 んでいる。

5 .アナリストの評価
・同社の競争力の源泉は、事業構築力と事業転換を行う決断力にあるが、 その分短期業績の変動幅が大きくなることは否めない。
・当面は、本格的な成長期を迎えるダイヤモンドワイヤの動向が同社の 評価軸の中心となろうが、外部環境の影響を受けにくい分野での新規 事業が事業ポートフォリオに組み込まれるかが中長期の焦点となろう。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。