あんしん保証<7183> 住居の賃貸借契約に連帯保証人が不要な社会実現に向けてシェア拡大を目指す
事前立替型の家賃債務保証サービスのパイオニア
住居の賃貸借契約に連帯保証人が不要な社会実現に向けてシェア拡大を目指す
業種:その他金融業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・あんしん保証(以下、同社)は家賃債務保証業界の中堅だが、事前立替 型と呼ばれる業界の主流と一線を画したサービスのパイオニアである。
2.財務面の分析
・12/3 期~17/3 期は、営業収益は年平均 23.0%、経常利益は同 22.6%の ペースで拡大した。保証会員数と保証残高の積み上がりで、営業収益は 6 期連続で増加したが、支店開設や増員による費用増加のため、13/3 期 と 15/3 期に経常減益を経験した。
・家賃債務保証サービスを行う上場企業との財務指標比較では、安全性 の優位性が目立つ一方、自己資本の厚さの裏返しで自己資本利益率は 低く、また、成長段階の違いにより経常利益の成長性は他社より低い。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、事前立替型のパイオニアとしてのポジション を構築できたことにある。それを裏付けているのが、他社に先駆けてサー ビスを開始した創業社長(人的資本)の存在と、競争優位性につながる 知的財産とノウハウ(組織資本)の蓄積である。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題には、既存市場におけるシェアの拡大、家賃債務保証 制度の認知度向上に向けた事前立替型の啓蒙、民法改正や登録制度 の制定の動きへの対応がある。
・同社は既存の事前立替型のサービス拡大でシェアを上げていくほか、法 制度の改正を見越した体制強化を図っていくとしている。長期的には家 賃保証以外の分野への領域拡大にも取り組んでいく方針である。
5.アナリストの評価
・事前立替型のパイオニアとしてのポジションを確立できたことが同社の最 大の成功要因である。業界全体の成長が期待される一方、業界のレピュ テーション悪化の可能性がリスク要因として挙げられる。事業者の登録制 度制定を見据えた動きを先導できれば、シェア上昇につながるものと考 える。