チエル<3933> システムとコンテンツの両方を持つ強みで政策の追い風をどこまで享受するか

2017/04/10

学校教育向け ICT 事業に特化した会社
システムとコンテンツの両方を持つ強みで政策の追い風をどこまで享受するか

業種:情報・通信業
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・チエル(以下、同社)は、学校教育向け ICT 事業の専業で、小学校~大 学を対象に、授業・講義支援システムやデジタル教材を提供している。
・教育ICTに関係する企業は多いが、システムとコンテンツの両方を持ち、 専業で展開する企業は少ない。

2.財務面の分析
・11/3 期~16/3 期は、年平均 5.2%の増収だったが、経常利益は同 1.5% の減益と伸び悩んだ。12/3 期と 14/3 期に前期比減益を経験したが、15/3 期以降は増益基調に戻ってきている。
・同社のような教育ICT分野専業の上場企業は他にない。同分野で製品・ サービスを提供する企業との財務指標の比較では、収益性全般で同社 が優位にある。一方、成長性と安全性に関しては、特段の優劣はない。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、現社長による事業の全体設計(人的資本)に ある。事業領域の絞り込みと経営資源の集中により、製品開発力を中心 とした競争力を高めてきた。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題は、営業体制の強化と売上の分散である。
・学校教育 ICT 分野への特化という方針は変えず、同分野での事業の深 化を経営戦略の中心に据えている。その上で、市場ごとのシステム開発 及び教材開発、国内の営業体制の強化、ストックビジネスの拡大、海外 展開(輸出の強化)を進めていく方針である。

5.アナリストの評価
・学校教育 ICT の分野に特化して事業展開をしてきたことが最大の成功 要因である。ニッチな分野にフォーカスし参入障壁を築いたことが成長の 基盤となっている。
・今後の動向を見る上では、あまり積極的な取り扱いがない販売代理店に 対する取引の活性化、共同開発の増加による製品投入サイクルの変化 の可能性、の 2 点に注目したい。

 

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。