一蔵<6186> 和装業界の商習慣を打破して成長してきた会社が起こす次の「維新」に注目

2016/12/12

「ハレの日」を演出する和装事業とウエディング事業を展開
和装業界の商習慣を打破して成長してきた会社が起こす次の「維新」に注目

業種: サービス業
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・一蔵(いちくら 以下、同社)は、和装事業とウエディング事業の 2 つの事 業を展開している。和装事業は、業界の商習慣を打破した買い取り仕入 を特徴とし、適正価格での商品提供により成長してきた。ウエディング事 業では、本物志向の施設を特徴とするゲストハウスを運営している。

2.財務面の分析
・11/3期~16/3期は、売上高は年平均9.5%、経常利益は同33.1%の成長 率で拡大してきた。この期間は 5 期連続増収だったが、14/3 期はゲスト ハウスの開設による費用先行で減益を経験した。
・他社との比較では、和装関連では、他社がマイナス成長の中で同社が プラス成長となっている。また、ウエディング関連の他社より成長性が高 い一方で、自己資本比率は総じて他社を下回る水準に留まっている。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、和装事業の買い取り仕入のビジネスモデル を支える、在庫の適正化や販売数増加のための仕組みにある。その結 果、関係資本の顧客基盤が拡大し、更に仕入力が強化されることとなる。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、和装事業での潜在顧客である若年層の得意先リ ストの獲得、ウエディング事業での施行単価と稼働率の上昇、全体として 旺盛な資金需要への対応が挙げられよう。
・和装事業での振袖シェアの拡大とSPAモデルの強化、ウエディング事業 での沖縄の新規施設の開業準備が当面の重点戦略となる。

5.アナリストの評価
・同社の買い取り仕入のビジネスモデルは、高価な商品しか供給できなか った和装業界に対し、適正価格・適正利潤が可能であることを示したもの である。また、適正利潤のために同社が行ってきた内製化のノウハウは、 ウエディング事業でも活用される競争力の源泉と考えられる。
・次のビジネスモデルとして確立を目指す SPA モデルは、従来の市場縮 小で疲弊してきた和服の生産地の立て直しや新たな需要喚起につなが る可能性があるものとして注目していきたい。

 

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。