ラクス<3923> 重点投資している経費精算システム「楽楽精算」の成否が成長ペースを左右しよう
中小企業の業務効率化のためのクラウドサービスを提供
重点投資している経費精算システム「楽楽精算」の成否が成長ペースを左右しよう
業種:情報・通信業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・ラクス(以下、同社)は、中小企業向けに、業務効率化に資するクラウドサービスを提供している。月額課金型をベースとしたサブスクリプションモデルにより、ストックビジネスとして展開されている。
・現在の主力サービスは、受信メールを一括管理する「メールディーラー」と、交通費や経費の精算のための「楽楽精算」である。
2.財務面の分析
・11/3期~16/3期は、売上高は年平均18.2%、経常利益は同19.3%の成長率で拡大してきた。この期間は5期連続増収だったが、12/3期と14/3期は海外子会社設立や新サービス開発等の費用増で減益を経験した。
・他社との比較では、売上高営業利益率や経常利益の成長性等の利益に関係する指標が比較企業より総じて低い。「楽楽精算」等への積極投資が影響しているものと考えられる。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、ストックビジネスとしての事業展開、継続利用を高める組織体制、複数のサービスによるポートフォリオ構築など、高成長を継続する仕組みにある。これらにより、継続利用率の高いサービスが生み出され、関係資本である顧客基盤の拡大へつながっている。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、代理店強化、テレビ広告等の費用対効果の管理があげられよう。
・現在重点的に投資している「楽楽精算」のシェア確保と収益化が当面の重点戦略となる。中期的には、サービスポートフォリオの拡充に向け、コスト管理をしながら成長投資を継続していく方針である。
5.アナリストの評価
・創業時より展開してきた「メールディーラー」を高収益のストックビジネスに育て上げたことや、異なるステージの複数のサービスを持つことの重要性を認識してサービスポートフォリオを構築してきたことを評価したい。
・現在の戦略は、「楽楽精算」に重点投資し、次の主力サービスとすることだが、「楽楽精算」の成否は同社の成長ペースを大きく左右しよう。