大冷<2883> 16 年 3 月期は大手メーカーの参入による競争激化を凌ぐ我慢の期
骨なし魚のパイオニアを自負する冷凍食品のファブレス企業
16 年 3 月期は大手メーカーの参入による競争激化を凌ぐ我慢の期
業種:食料品
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・大冷(以下、同社)は、業務用冷凍食品のファブレス企業である。同社は企画・開発と販売を行い、生産は国内外の約 50 の協力会社に委託している。
・骨なし魚(骨を抜いた魚およびその切り身)のパイオニアであり、同社の売上高の約半分を骨なし魚が占めている。
2.財務面の分析
・10/3 期~15/3 期の売上高は年平均 1.8%の成長率で拡大してきた。経常利益は 10/3 期~14/3 期は連続増益で推移したが、15/3 期は競合先の参入に対する防衛のために売上総利益を犠牲にし、減益となった。
・他社との比較では、収益性や安全性において同社は優位にある。同社がファブレス形態であり、バランスシートが身軽なことが要因と考えられる。一方、成長性は他社に劣り、売上高や総資産で見た規模も小さい。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、骨なし魚を世の中に送り出した開発力と、ファブレスを支える仕組み(特に協力会社、製造ノウハウ、品質管理)が構築されていることにある。
4.経営戦略の分析
・大手メーカーの骨なし魚分野への参入に対し、売上値引きによって対応し、シェアを守る方針である。
・原材料の安定調達の観点からも、ミート事業の拡大による事業ポートフォリオの分散を志向している。一方、コンビニエンスストアなどの市販商品への進出には慎重なスタンスを保っている。
5.アナリストの評価
・大手メーカーの骨なし魚分野への参入の影響に注視している。大手メーカーが同分野に対して予想以上に経営資源を投入してくる可能性は考慮に入れておきたい。競争が想定以上に長期化する、あるいは、17/3 期以降の業績回復ペースが緩慢になるなどの影響が考えられる。