菊池製作所<3444> マッスルスーツは業績回復を牽引しテーマ性もあるが、積極的な評価にはまだ力不足
顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業
マッスルスーツは業績回復を牽引しテーマ性もあるが、積極的な評価にはまだ力不足
業種:金属製品
アナリスト:大竹 喜英
◆ 試作品や金型、量産品製造で顧客を支えるものづくり支援企業
・菊池製作所(以下、同社)は、1970 年創業の顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業である。
・装着型筋力補助具「マッスルスーツ」の開発と量産をスタートさせている。
◆ 円安で既存事業が回復傾向、マッスルスーツは収益の柱へ
・試作品や金型製造、量産品製造など既存事業は厳しい状況ながら、15/4 期下期に精密機器関連など一部試作品で受注回復の兆しが見られる。マッスルスーツは収益の柱へ育ちつつあり、ガンマカメラ受託測定事業も収益貢献している。
◆ 16 年 4 月期は増収、大幅経常増益へ
・同社は 16/4 期連結業績を、売上高 6,460 百万円(前期比 10.4%増)、経常利益 219 百万円(同 835.9%増)、当期純利益 131 百万円(同 52.3%減)と予想している。当期純利益が前期比 52.3%減と予想されているのは、15/4期に特別利益として計上された受取補償金(379百万円)を、16/4期は想定していないためである。
・証券リサーチセンター(以下、当センター)ではマッスルスーツの売上増を考慮して、16/4 期の経常利益は同社予想を若干上回ると予想した。マッスルスーツの量産に伴い収益が改善し、設備投資や研究開発費は増加するものの、補助金などを活用し費用を抑制する方針である。
◆ 投資に際しての留意点
・同社の株価は 1 月 28 日の年初来高値 2,118 円をピークに、ほぼ一貫して下落傾向が続いている。自己資本当期純利益率は 13/4 期の 2.3%から 15/4 期は 4.5%まで回復したものの、現在株価 1,588 円は当センターの16/4 期予想 EPS に対して PER108.8 倍の水準にあり、割高感がある。
・新規事業による収益改善が見込まれるが、一般的なバリュエーション指標での前向き評価は難しい。ただし、マッスルスーツは政策とも合致しテーマ性があるため、同社の事業展開へは注目を継続すべきと考える。