アーキテクツSJ<6085> 三方よしの家づくりで良質な住宅ストックを提供する仕組みを持つ
建築家・建設会社・顧客の三位一体の家づくりを支えるネットワーク運営会社
三方よしの家づくりで良質な住宅ストックを提供する仕組みを持つ
業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太
1.会社の概要
・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(以下、同社)は、登録建築家と加盟建設会社の協力のもとで「ASJ 建築家ネットワーク」を運営し、富裕層でなくとも建築家の設計による良質な家づくりを可能にする仕組みを構築している。
2.財務面の分析
・09/3 期~15/3 期に売上高は年平均 8.4%の成長率で拡大したが、15/3 期は 14 年 4 月の消費税増税の影響で減収減益の決算となった。
・他社との比較では、直近期の業績低下の影響もあり、収益性において改善の余地がある項目がある。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、戸建のボリュームゾーンの価格帯における建築家の設計による家づくりを可能にするプロセスと、それを支える IT システムにある。
4.経営戦略の分析
・同社が抱える建築コストの上昇、設計契約の成約率の低下といった課題に対し、既にシステムの機能追加等の手立てが講じられており、それが同社のネットワークの仕組みの強化につながっていく。
・新築戸建だけでなく、建築家の設計との親和性の高いリフォーム分野やリノベーション分野への進出の本格化を模索している。
5.アナリストの評価
・同社のネットワークは参入障壁が高く、建設業界の中で独自の成長軌道を描く可能性を秘めている。また、経営課題を適切に把握し、対応策も妥当と言える。ただし、「仕組みを作る」同社と「仕組みを使う」建築家・建設会社との温度差があり、この温度差の大きさによって同社の成長速度が影響を受ける可能性がある。
・大量保有する 2 名の個人株主が存在し、その持分を上げてきている。株主数の減少によって流動性が低下傾向にある中、保有目的が不明な個人大株主の投資動向次第では、値動きが大きくなる局面がありうることには留意が必要である。