バトンズ(554A)幅広い案件網と成約支援力を武器に、中長期的な成長が見込まれる

2026/04/24

中小M&A のマッチング及び実務支援を担うプラットフォームを展開
幅広い案件網と成約支援力を武器に、中長期的な成長が見込まれる

業種:情報・通信業
アナリスト:吉林拓馬

◆ M&A プラットフォームサービスを展開
バトンズ(以下、同社)は、インターネットを活用したM&A 総合プラットフォーム「BATONZ」の企画・開発・運営事業を手掛けている。従来は対面や個別紹介に依存していた案件の獲得をオンライン上で可能にし、案件登録、相手探索、打診、交渉、成約報告までを支援する仕組みを提供している。BATONZには全国・全業種の案件と利用者が集まり、26年2月末時点で交渉可能な譲渡希望案件は10,673件、買い手の累積登録数は303,275人、累計成約実績は3,315組となっている。

同社は、日本M&A センター(現・日本M&A センターホールディングス(2127 東証プライム))で培った中小企業M&Aの知見を、より幅広くオンラインで展開するため、18年に分社化により設立され、現在の事業基盤を築いてきた。

同社の事業セグメントは、M&A テクノロジー事業の単一セグメントである。主要サービスは大きく「M&A プラットフォーム」、「M&A SaaS」、「その他」に分かれる。25/3期の売上構成比はM&A プラットフォームが71.7%、M&A SaaSが26.3%、その他が2.3%であった(図表1)。

1) M&A プラットフォーム
M&A プラットフォームBATONZは、売り手、買い手、M&A 支援機関が利用するオンラインのマッチング基盤であり、①マッチングサービス、②ソーシング支援サービス、③FA支援サービスを提供している。

① マッチングサービス
中核となるマッチングサービスは、売り手と買い手に案件や相手先の探索の場を提供するサービスである。売り手側の案件登録経路は、売り手本人がWeb経由で直接登録する場合と、M&A支援機関が受託案件を登録する場合の大きく2つに分かれる。一方、買い手はWebからの直接流入・登録が過半を占める。

買い手は無料会員登録後、業種、エリア、規模などの条件から案件を検索し、関心のある案件について質問や実名開示依頼を行う。売り手が承諾すると、秘密保持契約の締結や入札を経て交渉が始まり、その後に情報収集や条件交渉を進め、最終契約に至る流れである。M&Aが成約した際には、買い手から成約価額の2%をシステム利用料として受け取るが、最低料金は成約価額1,000万円未満で35万円、1,000万円以上5,000万円未満で70万円、5,000万円以上で150万円に設定されている。

② ソーシング支援サービス
ソーシング支援サービスは、買い手向けの有料オプションであり、同社が希望条件に沿った売り案件の探索を支援するサービスである。買い手が多数の候補案件から対象を絞り込む負担を軽減し、案件発掘を進めやすくする役割を担う。

顧客ニーズに応じて3つの会員プランを設けており、「BATONZ プレミアム会員」は、M&Aで成功するため・失敗しないためのノウハウ等のコンテンツをオンライン上で学べるプランで、月額料金は個人・個人事業主が4,900円、法人が9,800円である。「BATONZ プレミアムプラス会員」は、M&A プラットフォーム上で買収ニーズ広告を掲載し、案件提案を受けやすくするプランで、月額料金は29,800円である。「BATONZ プレミアムプロ会員」は、買収ニーズに合致した案件リストの作成、買い手との定期ミーティング、実名開示依頼の代行などを行い、マッチングを促進するプランで、月額料金は199,800円である。

③ FA 支援サービス
FA注1支援サービスは、売り手向けの有料オプションであり、同社のM&Aコンサルタントが売り手側の立場で成約までの実務を支援するサービスである。同サービスには、サポートサービスとプレミアムサポートサービスの2種類がある。

サポートサービスの内容は、案件掲載後の買い手候補とのやり取りや面談調整、交渉支援などである。プレミアムサポートサービスはこうした支援に加え、案件化の初期段階から関与し、企業概要書、ノンネームシートの作成、買い手探索、トップ面談への対応、基本合意後の進行支援など、成約に至るまでの実務をより広く支援する内容となっている。料金はいずれも成約価額の5%(最低料金は50万円)であり、株式譲渡案件についてはプレミアムサポートサービスの利用を必須としている。なお、M&A 支援機関が持ち込んだ案件では当該機関がFA 又は仲介者として関与するため、同社はFA支援サービスを提供しない。

2) M&A SaaS
M&A SaaSは、M&A 支援機関向けに業務支援システムをSaaSの形で提供する。大手から中小規模まで幅広いM&A 支援機関に対し、案件受託からエグゼキューションまでの主要業務をデジタル化・効率化する機能を提供し、月額システム利用料を受領する。M&A SaaSは①パートナープログラムと②B MASSに大別される。

① パートナープログラム
パートナープログラムは、M&A専門業者、士業等専門家、コンサルティング会社など支援専門家向けの会員プログラムである。BATONZ上での案件管理、マッチング、業務支援機能を利用できる仕組みであり、M&A 支援機関は自らが受託した案件を登録し、交渉支援を進めることができる。26年2月末時点では、同社のパートナーとなっているM&A 支援機関数は1,968社である。

② B MASS
B MASSは、金融機関向けの業務支援システムである。顧客管理システムやM&A マッチングシステムを中心に、支店担当者の案件発掘、提案、本部での案件管理、ディール実行を支援する。26年2月末時点でのサービス提供先金融機関は151社である。

3) その他
M&A に関連する行政・地方自治体からの受託業務、講演、コンサルティング、情報メディア発刊のほか、M&A 周辺ニーズに対応する各種サービスを提供している。

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資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。