パワーエックス(485A)再生エネルギーの需給調整力としての電力系統用蓄電所拡大が成長を牽引
蓄電システムの開発、販売、運用でエネルギー自給率向上を目指す
再生エネルギーの需給調整力としての電力系統用蓄電所拡大が成長を牽引
業種:電気機器
アナリスト:鎌田良彦
◆ 蓄電システムの開発、販売、運用でエネルギー自給率の向上を目指す
パワーエックス(以下、同社)グループは、同社と連結子会社であるPowerXManufacturing、海上パワーグリッドの2社、持分法非適用関連会社PXAM合同会社の4社からなり、蓄電池と電力制御を組み合わせて電力を充放電するバッテリーエネルギー貯蔵システムの開発、製造、販売を始め、蓄電池を活用したソリューションの提供及び運用により、日本のエネルギー自給率の向上を目指している。
同社の事業セグメントは、電力系統注1用蓄電所等の大型定置用蓄電システムや中型定置用蓄電システムの販売、メンテナンスを行う「BESS(BatteryEnergy Storage System)事業」、電気自動車向けの蓄電池型急速EV充電システムの販売、メンテナンス及び自社でEV充電ステーションの運営を行う「EVCS(Electric Vehicle Charge Station)事業」、太陽光等の再生可能エネルギー(以下、再エネ)で発電した電力を蓄電池に蓄え、夜間電力として需要地のオフィス等に販売するオフサイトPPA注2や電力系統用の大型定置用蓄電システムを販売して、その運営をアグリゲーター注3として行う「電力事業」
の3セグメントからなる。その他、構想準備段階にある事業として、子会社の海上パワーグリッドが手がける「海上送電事業」がある。
同社は21年3月に設立され、23/12期から売上高が計上されている。BESS事業が、24/12期の売上高の67.2%、25/12期第3四半期累計期間は同83.8%を占め、24/12期からはセグメント利益を計上する等、業績を牽引している(図表1)。
◆ BESS事業
BESS事業では、主に大型定置用蓄電システムPowerX Mega Power(以下、Mega Power)と中型定置用蓄電システムPowerX Cube(以下、Cube)の販売、メンテナンスを行っている。
Mega Powerの現行機種2700Aは電力容量2.7MWhの大容量で、電力系統用と顧客の拠点に設置して利用する産業・商業用の双方に利用可能だが、足元では電力系統用が殆どを占めている。Cubeは電力容量358kWhで、産業用・商業用に用いられる。
電力系統用のMega Powerの顧客は、発電事業者やエネルギー関連企業を始め、電力事業の一環として蓄電所事業に参入する企業が多い。
同社の蓄電システムでは、電池セルはリン酸鉄リチウムイオン電池を使用している。リン酸鉄リチウムイオン電池は、正極にニッケル、コバルト、マンガン等を使う三元系リチウムイオン電池に比べ、異常時に熱暴走しにくく、価格が安い。同社では電池セルとそれを組み合わせた電池モジュールは自社で製造せず、全量を中国企業から調達している。
同社では購入した電池モジュールや、交流電力と直流電力の変換を行うパワーコンディショナー等の機器と、自社で開発したパワー管理システム(PMS)、エネルギー管理システム(EMS)、セキュリティーシステム等のソフトウェアを組み合わせた、蓄電システムとして販売している。
蓄電池製品の製造、組み立ては、子会社PowerX Manufacturingが運営する岡山県玉野市の製造拠点Power Base及び、提携工場の三井造船特機エンジニアリング(岡山県玉野市)で行っている。
◆ EVCS事業
EVCS事業では、蓄電池型急速EV充電システムPowerX Hypercharger(以下、Hypercharger)の販売、メンテナンスと、Hyperchargerを利用したEVユーザー向け充電サービスPowerX Charge Station(以下、Charge Station)の自社拠点運営とFC拠点の運営受託を行っている。
Hyperchargerは、最大出力240kWによる短時間充電が可能であり、蓄電池併用型で、変電機、パワーコンディショナー、充電器を備えた充電設備で、一般商業用の低圧電力(200V)契約で利用できるため、設置場所の制限が少なく、低コストでの設置が可能となっている。Hyperchargerの主要顧客は国内外のカーディーラー、自動車用品販売業者、運送業者等である。
◆ 電力事業
電力事業では、蓄電池を使ったオフサイトPPAであるX-PPAの提供や、蓄電所の開発、運営サービスを提供している。オフサイトPPAとは、電力の需要家が需要場所以外の発電設備から再生可能エネルギーを調達するスキームである。同社のX-PPAでは太陽光発電所等から再エネを購入して蓄電池に蓄え、夜間に再エネ由来電力として、オフィスビルや商業施設等に販売するものである。
蓄電所の開発、運営サービスは、同社が蓄電所の企画・開発を行い、事業者に蓄電システムを販売し、商業運転開始後は、同社が蓄電所の運営を受託するものである。足元では電力事業の売上高は、蓄電所の開発、販売、運営サービスが多くを占めている。
◆ 海上送電事業
海上送電事業は、再エネで調達した電気を蓄電池に貯めて海上輸送により顧客に電気を届けることを目指す事業である。大規模な敷設工事が必要になる海底ケーブルによる送電に比べ、環境や自然に優しく、災害に強い送電方法になると同社では考えている。現在、子会社の海上パワーグリッドで、電気運搬船の初号船開発に向けたプロジェクトを進めており、今後国内外で実証実験を行う予定である。海上パワーグリッドでは、外部企業との資本業務提携を含む様々な枠組み検討の上推進する方針で、同社の持分比率は今後低下させる方針である。

