BRANU(460A)建設DXプラットフォームの契約社数の増加を背景に事業規模拡大を目指す

2025/12/02

中小建設会社に特化した各種ITサービスの提供会社
建設DXプラットフォームの契約社数の増加を背景に事業規模拡大を目指す

業種:情報・通信業
アナリスト:松尾十作

◆ 中小建設会社に特化したDXプラットフォームを提供
BRANU(以下、同社)は、中小建設会社が抱えている、①既存の取引先や元請業者からの紹介に依存しているため、新規の顧客獲得が難しい、②従業員採用のノウハウがない、③案件の採算性不明瞭といった経営課題を解決するため、建設DXプラットフォーム「CAREECON Platform」を提供している。

CAREECON Platformの主なサービスとしては、(1)オウンドメディア構築及び建設業マッチングメディア「CAREECON」、建設業に特化した統合型ビジネスツールである(2)「CAREECON Plus」、25年5月にローンチされた建設業特化型の人材獲得支援サービス(3)「キャリコンジョブ」が挙げられる。

24/10期のサービス区分別の売上構成比は、オウンドメディア構築を含むCAREECONが56.7%、CAREECON Plusが43.3%であった(図表1)。

(1) オウンドメディア構築及び建設業マッチングメディアCAREECON
同社は、中小建設会社の新規顧客獲得や従業員採用に貢献するサービスとして、企業ウェブサイトやブログコンテンツ、SNS等、企業ウェブマーケティングを目的として保有・運営するオウンドメディアの構築サービスを提供している。

オウンドメディアを構築するだけでは不十分で、オウンドメディアを閲覧してもらえなければ新規顧客獲得や従業員採用につながらないため、建設関連情報を掲載する建設メディア機能と工事案件の募集・応募を可能とする機能を備えた、マッチングメディアCAREECON上に顧客のPRページを掲載し、そのPRページから顧客のオウンドメディアへの導線を確保している。

CAREECONの媒体価値を示す指標のひとつである登録社数は20/10期末の2,406社から、24/10期末には4,785社、25/10期第3四半期末には5,572社へと順調に増加している(図表2)。また、24/10期のCAREECONを通じての受発注総額は1,874百万円であった。

(2)CAREECON Plus
CAREECON Plusは、中小建設会社が直面する経営課題の解決に特化した建設業向け統合型ビジネスツールで、1)マーケティング機能、2)採用管理機能、3)施工管理機能、4)経営管理機能を備えている(図表3)。

CAREECON Plusには4つの機能を全て利用できる初期費用60万円、月額利用料10万円のStandardプランと利用できる機能を一部に限定しているminiプランの2種類がある。miniプランは初期費用がなく、月額利用料1.2万円で利用ができるエントリープランに位置付けられている。

1)マーケティング機能
中小建設会社の場合、既存の取引のある元請業者や顧客からの受注に依存する傾向があり、取引先の固定化で価格交渉力が弱い。CAREECONPlusは、中小建設会社がネット検索を通して新規顧客獲得を可能にする各種機能を提供している。

2)採用管理機能
中小建設会社は、人手が足りない場合は縁故採用に頼るか、もしくは協力会社に発注して自社の人手不足を補う場合が多い。CAREECON Plusを利用することにより、採用ノウハウのない中小建設会社でも外部からの採用を行えるよう、同社のサポートにより採用特設サイト構築を可能にしている。

応募者の応募経路や対応状況等を管理できる応募者管理機能の他、外部の大手求人サイトに自動連係できる機能もある。また、後述する建設業特化型の人材獲得支援サービスである「キャリコンジョブ」とも26/10期中には連携する見込みである。

3)施工管理機能
中小建設会社の場合、元請業者や顧客への報告では、図表、工程表を共有する際に、書面やFAX等のアナログの手段を利用することが多い。それらの資料整理のため、工事現場とオフィスとの往来が多く生産性が上がりづらくなっているのが現状である。CAREECON Plusの施工管理機能を利用することで、工事案件毎に図面等の各種の書類を電子化してクラウド上に保管することが出来るようになり、工事関係者が資料や工程表等をオンラインで共有することが可能になる。

4)経営管理機能
中小建設会社においては、経験に頼った請負価格設定や原価積算等、適切な採算管理が行われない場合が多い。CAREECON Plusを利用することで、原材料費、協力会社への支払いも含めて案件毎の適切な価格設定、原価管理、期間ごとの売上及び売上総利益等を適切に管理することが可能となる。

25/10期第3四半期末のCAREECON Plusのサービス契約社数は2,742社であり、うち222社がCAREECON Plus Standardの契約先である(図表4)。

(3)キャリコンジョブ
キャリコンジョブは25年5月にβ版がリリースされた、建設業特化型の人材採用支援サイトで、初期費用や月額費用がかからず、求職者が採用された段階で求人側から一定額を受け取る成果報酬型サービスである。26/10期中にはCAREECON Platformと連携する予定である。現時点では、既存顧客に対してのサービスの紹介など、求職者数や求人建設会社数の拡大を目指す段階にある。

◆ フローとストックの両方で収益を拡大
オウンドメディアの構築ならびに建設業マッチングメディアであるCAREECONや人材採用支援サイドであるキャリコンジョブはフロー型のビジネスモデルであり、統合型ビジネスツールを提供するCAREECON Plusは基本的にはストック型のビジネスモデルである。

同社は、CAREECON及びオウンドメディアの構築サービスにより新規顧客を開拓し、段階的にCAREECON Plusの利用へと誘導することにより、収益を拡大する戦略をとっている。CAREECON Plusには上述したように、エントリープランであるminiプランがあるが、まず顧客企業にminiプランを利用してもらうことから始め、利用価値を認めてもらうことによりStandardプランへのアップセルを図っている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。