GVA TECH(298A)法とすべての活動の垣根をなくす

2025/01/07

法律とIT技術を組み合わせたリーガルテックサービスを提供
法とすべての活動の垣根をなくす

業種:情報・通信業
アナリスト:髙木伸行

◆ 「法律」×「IT」=「リーガルテック」で法的手続きを支援
GVA TECH(以下、同社)は、専門性が必要な法律業務や法的な手続きを法律とIT技術を組み合わせた「リーガルテック」を活用して支援している。同社は主に企業の法務部門や法律事務所向けに法務業務のDXを推進する「LegalTech SaaS事業」と社内に法務機能がない企業でも簡単に登記手続きが行える「登記事業」を展開している。

LegalTech SaaS事業は23/12期売上高5割弱を、登記事業5割強を占めた(図表1)。

◆ LegalTech SaaS事業
LegalTech SaaS事業は企業の法務部門と事業部門の垣根を取り払い、法律業務を効率化するSaaS型のクラウドサービス「OLGA(オルガ)」を企業の法務部門や法律事務所に提供している。OLGAは「AI法務アシスタント」、「法務データ基盤」、「AI契約レビュー」、「契約管理」の4つのモジュールで構成されている。顧客は各モジュールを個別に導入でき、ニーズに合わせてモジュールを組み合わせて利用している。

AI法務アシスタントモジュールはQ&Aデータベースを自動で作成し、定型的な相談内容に対してQ&Aデータベースに基づいて回答したり、類似した過去対応案件を検索・紹介するといった機能をチャットボット方式で提供するものである。法務部門のみならず事業部門でも利用でき、定型的な相談であれば、直ぐに解決できるため、業務の効率化につながる。

法務データ基盤モジュールは受付段階から法務案件を一元的に集約し、案件の進捗やタスクの管理などを自動で行う。事業部門とのコミュニケーションもモジュール内で行えるため、あらゆる法務の情報をデータベース化できる。これまでは整理・蓄積されなかったような情報まで容易に検索・活用することを可能にする。

AI契約レビューモジュールは、契約審査業務において必要となる、論点検知機能、過去のナレッジ活用機能、形式チェック機能を提供し、契約審査業務の品質の向上や効率化を実現するものである。特に論点検知機能については顧客企業独自の基準にカスタマイズすることが可能である。

契約管理モジュールは契約書をアップロードするだけで生成AIが台帳を作成・一元管理してくれる。契約期限更新のアラートを自動で通知し、契約の更新や終了漏れのリスクを低減したり、目的の契約書を直ぐに検索できる機能などがある。

LegalTech SaaS 事業の収益は、利用アカウント数に応じた月額利用料と初期導入費用などのスポット料金で構成されている。大手企業から中堅企業まで約600社の企業に利用されている(図表2)。また、解約率が低く、モジュールの複数利用が進むことにより、顧客平均単価は上昇傾向にある。

◆ 登記事業
登記事業では商業登記における変更申請の書類を簡単に作成することができる「GVA法人登記」と法務局に登記されている法人の情報を証明する履歴事項全部証明書等を簡単に請求できる「GVA登記簿取得」というサービスを提供している。

商業登記とは、商法や会社法等で登記すべきと定められた事項(商号、役員情報、資本金、事業の目的等)を、商業登記簿に記載することで一般に公示する制度である。設立時だけでなく、記載された事項を変更する場合も、必ず変更申請の手続きを行う必要がある。

GVA法人登記は株式会社、合同会社、有限会社といった法人形態で利用可能で、25種類の手続きに対応している。変更登記書類作成費用は登記類型により5,000円~32,000円(税別)となり、法務局郵送用の封筒や収入印紙の準備、変更登記申請の反映確認を代行してくれるオプションサービスも提供している。

履歴事項全部証明書等を法務局に請求し入手する場合、対応時間や支払方法が限定されていることなどから不便を感じる利用者は多い。オンラインで取得できるWebサービスもあるが、UI/UXが洗練されていなかったり、事前の手続きが煩雑といった欠点がある。GVA登記簿取得では、24時間365日、Webサイトから交付請求ができ、UI/UXがシンプルで利用し易く、最低限の情報入力とクレジットカードでの支払いにより短時間での請求が可能となる

登記事業の収益モデルは、利用者による手続きの都度、サービス利用の料金及び書類の印刷、製本等を代行するオプション料金を受け取るというものである。累計で約2.2万社の利用実績があり、サービス利用の約3割がリピーターである(図表3)。23/12期では約12,000件の利用があったが、同社はこのサービスの認知度を高め、利用の拡大を目指している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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