ラクサス・テクノロジーズ(288A)新規会員の獲得、既存会員の継続率向上などに注力し、事業規模拡大を目指す

2024/12/17

ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を提供
新規会員の獲得、既存会員の継続率向上などに注力し、事業規模拡大を目指す

業種:サービス業
アナリスト:佐々木加奈

◆ ブランドバッグのシェアリングサービスを提供
ラクサス・テクノロジーズ(以下、同社)は、「世界中に笑顔を」を経営理念に掲げ、ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービスを一般消費者向けに提供している(ラクサス事業、アプリ及びサイト名は「Laxus」)。サブスクリプションとは、定額料金を支払うことで一定期間、商品やサービスが利用できる仕組みで、同社は月額制でブランドバッグを利用できるサービスを提供している。

同社は06年8月に広島市で創業し、当初は英会話教材や健康食品の販売を行っていた。15年2月にブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス事業を開始し、17年1月に現社名となった。尚、19年7月に英会話教材や健康食品の販売から撤退している。

19年10月に総合アパレル大手のワールド(3612東証プライム)が同社株式の過半数を取得して親会社となった(上場時の持分比率は44.3%)。米国でテストマーケティングを行うために20年8月に設立した子会社LAXUS TECHNOLOGIES INC.は24年5月に解散している。

◆ ラクサス事業の概要
ラクサス事業は、月額定額制でブランドバッグが使い放題(交換自由)となるサービスである。このサービスでは、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチ、セリーヌ、プラダなど世界的に認知されている60の高級ブランドのバッグ約40,000点を取り扱っている。これらのブランドバッグについては、主に中古品取扱事業者やオークションを通じて調達し、自社の専門スタッフによる丁寧なメンテナンスにより長く良好な状態を維持している。

ユーザーがサービスを利用する際には、①アプリで会員登録(無料)して好みのブランドバッグを選択する(同社がバッグを発送した時点で月額料金が発生する)、②自宅に届く(往復送料無料、返却期限なし)、③次のバッグを予約して交換する(使用したバッグは届いた箱に入れて返却する)という流れとなる。

基本となるシングルプラン(月額9,800円:税別)では1回に利用できるバッグは一つで、二つのバッグを利用したいユーザーにはダブルプラン(月額 13,600円:税別)を提供している(沖縄県はシングルプラン、ダブルプランともプラス4,000円:税別)。尚、ダブルプランの利用については、同社のサービスを長期利用している会員のみが対象となっている。

ユーザーは会員登録時に身分証明書の提示とクレジットカードの登録が必要となり、料金はカードからの支払いとなる。これらのプランには利用期間の縛りはなく、解約料金も発生しない。尚、日常の使用で生じた傷や汚れについてはキズ補償を導入しており、追加で料金を請求されることはない。

ユーザーの年齢層は20代から50代まで幅広いが、中心は30代、40代で(24年2月実績)、24年9月末の有料会員数は19,847人となっている。7割超を働く女性が占めており、通勤などでブランドバッグを利用する他、同窓会やパーティ、旅行など様々なシーンに合わせたコーディネートに利用する例が多い模様である。

サブスクリプション型シェアリングサービスの他に、ユーザーがレンタル中のバッグを購入できる「買えちゃうラクサス」サービスも提供している。これは、ユーザーから、「ブランドバッグを利用したいものの、高価格のため購入を躊躇している」といった意見が多かったことを踏まえ、シェアリングサービスで様々なブランドバッグを試したうえで、気に入ったら購入も可能という選択肢を提示するために開始したサービスである。

◆ 収益構造
同社の収益は、シェアリングサービスの月額利用料、バッグ販売(買えちゃうラクサス、業者販売)に係る売上高で構成されている。25/3期中間期(以下、上期)の売上構成比は、シェアリングサービスの月額利用料が77%、バッグ販売(買えちゃうラクサス)が7%、バッグ販売(業者販売)が16%である。

シェアリングサービスの24年9月末の有料会員数は19,847人、24年4月から9月の月平均顧客単価は8,766円である。月平均顧客単価がシングルプラン(月額9,800円:税別)の価格を下回るのは、割引キャンペーンを利用中の会員が一定数いるためである。

買えちゃうラクサスは、ユーザーにブランドバッグを、業者販売では、サブスクリプション型シェアリングサービスにおいて相当回数利用したバッグを二次流通市場において業者に販売している。同社はこうした仕組みによりバッグの廃棄ゼロを実現している。

主な売上原価は、サブスクリプション型シェアリングサービス用のバッグの減価償却費、販売用バッグ(レンタル用から振替)の商品原価である。バッグの減価償却費は売上原価の68.9%を占めている(24/3期連結実績、以下同様)。販売費及び一般管理費(以下、販管費)の主なものは、広告宣伝費、給料手当、荷造運賃である。販管費に占める割合は、広告宣伝費27.6%、給料手当20.7%、荷造運賃11.5%である。

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