Ai ロボティクス(247A)自社開発のAiシステムを用いたマーケティングに強み

2024/10/04

スキンケア商品・美容家電などの企画・開発、販売
自社開発のAiシステムを用いたマーケティングに強み

業種:化学
アナリスト:星匠

◆ 事業転換を図り、D2Cブランド事業に経営資源を集中
Aiロボティクス(以下、同社)は、D2C注1ブランド事業を主要事業として位置づけ、ジャンルにとらわれず、今までにない商品やサービスを提供することを目指している。D2Cブランド事業は、同社が企画・開発し、製造委託した商品を自社EC、ECモール、店頭卸の3つのチャネルを通じて販売している。同社は顧客の販売を支援するためにAIマーケティング事業を手掛けていたが、そのノウハウを活かして、スキンケアブランドを展開する企業を子会社化し22年よりD2Cブランド事業を開始した。

同社は、女性向けのライフスタイルに関する動画配信サービスの運営、動画配信サービスを通じた消費者に対する広告配信から事業を開始した。これらの事業を通じて、広告主であるクライアントの新規顧客獲得のニーズや広告の費用対効果の測定に対するニーズに対応するため、AIマーケティング事業を開始し、AIシステム「SELL(セル)」を開発した。

AIマーケティング事業の拡大を図ってきたが、22年2月より、「SELL」を活用した自社ブランドの企画・開発、販売を行うD2Cブランド事業を開始した。順調に事業が拡大したことで、これまでの事業で得られた、女性のライフスタイルに関する知見、広告配信のノウハウ、AIシステム「SELL」の開発とデータの蓄積という、強みをより活かすために、AIマーケティング事業に投入していた経営資源をD2Cブランド事業にシフトし、現在はAIマーケティング事業は休止している。

◆ D2Cブランド事業ではスキンケアと美容家電を展開
D2Cブランド事業の主力ブランドは、スキンケアブランド「Yunth」、美容家電ブランド「Brighte」を展開している(図表1)。

(1)スキンケアブランド「Yunth」
「Yunth」は、youth(若さ)にかけた造語で、スキンケアブランドとして、「生VC美白美容液」を始め、化粧水、UVジェル、クレンジング、洗顔料など、順次、商品のラインナップを拡充してきている。商品の製造については、国内メーカーに委託している。

主力商品である「生VC美白美容液」は、メラニンの生成を抑制しシミやそばかすを防ぐことで、美白効果が認められる美容成分アスコルビン酸を配合した商品である。アスコルビン酸は壊れやすく、酸化しやすいため、一回使い切りで、新鮮感のある個包装の商品パッケージとしたことが特徴である。その他の商品においても、アスコルビン酸を配合した商品には名称に「生VC」を付しており、顧客から「Yunth=生VC」という一定の認知も得られている。SNSを中心に認知拡大を行っており、「生VC美白美容液」は24年7月現在で、300万個以上の出荷実績がある。24/3期の売上高のうち、77.5%を占め、同社の業績を牽引する商品となっている。

(2)、美容家電ブランド「Brighte」
「Brighte」というブランド名は、bright(明るい、光る)にelectronic(電子)を連想させる「e」を付け加えたことから生まれた。サロン施術を受けているような体感を目指し、中価格帯の美容家電ブランドとして商品ラインナップを展開している。商品の製造については、国内よりも安価で技術力の高い中国企業に委託している。

販売を開始した24年2月から、「ELEKI BRUSH」と「ELEKI LIFT」の2種類の美顔器を展開している。「Brighte」ブランドの売上高のうち、「ELEKI BRUSH」が7割程度を占め、同社として初めて著名タレントを起用したブランディングを行い、顧客への認知が拡大している。

◆ D2Cブランド事業の販売チャネル
D2Cブランド事業は、主力ブランドの「Yunth」と「Brighte」ともに、自社EC、ECモール、店頭卸の3つのチャネルを通じて販売している(図表2)。

自社ECでの販売は、売上高の約3分の2を占めている。「Yunth」については、顧客に一定間隔で継続的に商品を届ける定期購入サービスの提供に注力している。InstagramやTikTokなどのSNS広告を中心に自社ECサイトに顧客誘導している。新規の定期購入者を増やし、定期購入者のLTV(顧客生涯価値)を維持、向上させることで、継続的な収益が見込まれるストック型のビジネスモデルになっている。

ECモール販売は、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10などのECモール内に自社店舗を出店して販売している。商品ページの表示や商品の詳細説明の分かりやすさや丁寧な顧客対応、商品そのものの魅力が評価され、各ECモールで高く評価されている。

店頭卸販売は、店頭販売のための販売代理店に対する卸販売である。販売代理店を通じて、「Yunth」は全国のドラッグストアやバラエティショップなど、「Brighte」は家電量販店などの合計約6,200店舗(24年7月現在)の小売店で販売されている(図表3)。

◆ KPI(重要業績指標)
同社は継続的な収益が見込まれるため、「Yunth」の定期会員数をKPIに設定している。新規顧客の獲得と継続率の維持、向上によって、定期会員数は、順調に増加しているが、24/3期第4四半期末に全四半期末から減少したのは、「Brighte」の販売開始に伴い、新規顧客獲得に必要な広告費用を「Brighte」向けに振り向けたためである(図表4)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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