ダイブ(151A)宿泊業や地方圏における人手不足の解消に貢献するサービスを提供

2024/04/05

日本全国の観光施設等に人材派遣及び人材紹介を行う観光HR事業が主力
宿泊業や地方圏における人手不足の解消に貢献するサービスを提供

業種:サービス業
アナリスト:佐々木加奈

◆ 日本全国の観光施設等に人材を提供する観光HR事業が主力
ダイブ(以下、同社)は、「一生モノの『あの日』を創り出す。」というミッションと「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ。」というビジョンのもと、リゾートバイト注1に特化した人材派遣や人材紹介を行う観光HR(Human Resources:人的資源、人材)事業を主力として行っている。その他に、地方でグランピング施設注2などの企画開発・運営を行う地方創生事業、情報システム関連のサービスを幅広く行う情報システム事業を手掛けている。

23/6期の売上構成比は観光HR事業が94.4%、地方創生事業が4.6%、情報システムが1.0%である(図表1)。地方創生事業及び情報システム事業は22/6期、23/6期ともセグメント損失を計上している。

◆ 観光HR事業
リゾートバイトに特化した人材派遣及び人材紹介を行っている。派遣及び紹介の流れは次の通りである。

① 同社の営業拠点(札幌市、仙台市、東京都新宿区、大阪市、福岡市、那覇市)の営業担当者が労働者派遣(紹介)基本契約を締結している全国のリゾートホテルや旅館、テーマパーク、レジャー施設、飲食店等(以下、観光施設等)から求人情報を入手して、同社の運営するリゾートバイト求人サイト「Resort Baito Dive」(図表2)や各種求人媒体に掲載する
② 求人情報を閲覧して興味を持った求職者がスタッフ登録の手続きを行う。登録に際して同社は、希望エリアや職種、勤務時間といった基本的な情報に加え、志望動機や求める体験といった情報もヒアリングしている
③ 収集した情報をもとに、登録者に最適な勤務先を同社のデータベースから検索してマッチングを行う。勤務先が決定すると、同社と観光施設等の間で労働者派遣(紹介)個別契約を締結する。人材派遣の場合は派遣スタッフと同社との間で雇用契約を締結し、派遣スタッフが観光施設等に就業する
④ 契約期間終了前に派遣スタッフと観光施設等、同社との間で契約期間延長の可否を協議して決定する

「Resort Baito Dive」の利用者の年齢は25~44歳が56.5%、45~65歳以上が22.3%、居住地域は関東が49.1%、関西が14.1%と、都市部居住の25歳以上の社会人が中心となっている(23/6期実績)。年間サイト利用者数は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により21/6期、22/6期と落ち込んだものの、23/6期は回復して178.6万UU(ユニークユーザー数:重複を除外したユーザー数)となっている(図表3)。

人材派遣では派遣先から受け取る派遣料金と派遣スタッフに支払う給与の差額が、人材紹介では紹介先の企業から受け取る紹介手数料が同社の収益となる。尚、23/6期における観光HR事業の売上高の98.5%が人材派遣によるものである。

◆ 地方創生事業
グランピング施設の用地開拓や市場調査、コンセプト策定、施設や設備の企画・運営などを行っており、「ザランタン注3」というブランド名で、全国5カ所(北海道「ザランタン芦別」、栃木県「ザランタン鹿沼」、茨城県「ザランタンひたち大宮」、岡山県「ザランタンあば村」、佐賀県「ザランタン三瀬高原」)に展開している。施設は、主に地方公共団体が所有管理する公共施設や観光地としての開発がなされていない遊休施設及び遊休地を活用しており、その地域に訪れる人を増やすとともに雇用を創出して地域を活性化することを目指している。尚、一部の施設はパートナー企業と共に運営しており、パートナー企業が宿泊者に提供する食材の仕入れや調理を行っている。

施設の宿泊単価は1泊2食付き宿泊プランで大人1名1.5万円前後に設定されている。同社の収益は宿泊客から受け取る宿泊料金で、パートナー企業と共に運営する施設の場合は、パートナー企業が宿泊料金を受け取り、同社は契約に基づく業務提携料をパートナー企業から受け取っている。

また、同社はグランピング施設専門の比較・予約サイト「GLAMPICKS(グランピックス)」を運営しており、宿泊施設等の広告を掲載する企業から掲載料を得ている。

◆ 情報システム事業
情報システムの担当者がいない企業などを対象として、その企業に合わせたシステムの選定及び導入支援、拠点開設や移転に伴うシステム整備など、情報システム関連のサービスを幅広く行っている。同社が運営するサイト「情シスダイブ」に問い合わせがあった企業や、業務委託契約を締結したパートナー企業からの紹介企業がサービスの提供先で、企業から受け取るコンサルティング料及びパートナー企業から受け取る契約に基づいた報酬が収益となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。