ジンジブ(142A) 就職プロセスの構造変化や旺盛な企業の若手獲得ニーズを背景に成長局面へ

2024/03/26

高校生向け就職支援サービスのリーディングカンパニー
就職プロセスの構造変化や旺盛な企業の若手獲得ニーズを背景に成長局面へ

業種:サービス業
アナリスト:村木雄一

◆ 高校生を対象とする就職支援サービスが主力
ジンジブ(以下、同社)は、高校生を対象とする就職支援サービスを主力に、高卒社会人の教育・転職支援サービスなどを提供している。

同社の事業は高卒人材採用支援事業の単一セグメントであるが、売上高は提供するサービス別に、採用領域、教育領域、その他の3つに区分されている(図表1)。

◆ 採用領域
採用領域として「採用支援サービス」、「企画制作サービス」、「代行支援サービス」を提供している。各サービスの詳細は後述するが、採用支援サービスは、企業がジョブドラフトNaviのリピート(継続)契約を10月から3月にかけて結ぶ傾向があるため、売上が下期に偏重する。企画制作サービスと代行支援サービスは、求人情報が解禁される7月(第2四半期)に売上が偏重する。以上のことから、第1四半期は閑散期となる。

(1)採用支援サービス
企業が行う高校新卒者の採用活動を支援するサービスであり、23/3期の売上の58.7%を占める。採用支援サービスは、①就職求人サイト「ジョブドラフトNavi」、②就職イベント「おしごとフェア/ジョブドラフトFes/先生Fes」、③ミスマッチ防止サービス「ジョブドラフトSurvey」で構成されている。

① 就職求人サイト「ジョブドラフトNavi」
高校生向け求人情報サイト「ジョブドラフトNavi」を運営している。23年末現在の掲載社数は2,354社であり、これら掲載企業から受領する掲載料が同社の収入となる。

ジョブドラフトNaviは、写真や動画を用いて、会社の雰囲気や1日の業務の流れ、社員へのインタビューなどを紹介するものである。掲載企業にとっては、従来の就職情報の中心である求人票では十分に伝えにくい自社の魅力を、学校を介さずに高校生に直接アピールできるようになる。

一方、高校生にとっては、求人票よりも情報量が多いことから企業への理解を深められることに加え、スマートフォンやパソコンを使っていつでも情報にアクセスできたり、求人企業の特徴や職種、就業地域などの視点で絞り込んだ上で全国の求人情報を調べられたりするなどのメリットがある。

② 就職イベント「おしごとフェア/ジョブドラフトFes/先生Fes」
高校生向け職業体験イベント「おしごとフェア」、合同企業説明会「ジョブドラフトFes」、高校教員向け職業体験イベント「先生Fes」を開催・運営している。出展企業からの参画料が同社の収入となる。

③ ミスマッチ防止サービス「ジョブドラフトSurvey」
企業向けに提供するサービスで、受験者の性格特性や仕事における優先軸を明らかにする適性検査アプリと、面接マニュアルで構成されている。企業からの利用料が同社の収入となる。

(2)企画制作サービス
採用支援サービスのオプションとして提供されている。企業が高校生の新卒採用を行うに当たり必要となる企業パンフレット制作、企業紹介動画制作などを行うものである。企業からの制作料が同社の収入となる。

(3)代行支援サービス
採用支援サービスのオプションとして提供されている。企業が高校生の採用活動として行う、進路指導担当教員への訪問活動や、求人票の発送などを同社が代わって行うものである。委託費が同社の収入となる。

◆ 教育領域
教育研修サービスとして、学校及び高校卒社会人に向けて、教育研修プログラムを提供している。

学校向けには、講師を派遣して生徒に授業として働くことのイメージを伝えるキャリア教育プログラム「ジョブドラフトCareer」、高校新卒社員向けには育成研修と定着支援を組み合わせた「ルーキーズクラブ」を提供している。前者については、一定の条件を満たせば無料である。後者は企業からの委託費が同社の収入となる。

◆ その他
22年10月から、高卒第二新卒(注)や既卒生向けの就職・転職支援サービス「ジョブドラフトNext」の提供を開始している。社会人としての意識やマナーなどに関するWeb教育プログラムと、企業への人材紹介サービスを組み合わせたもので、就職や転職が実現した際に企業から受け取る成功報酬が同社の収入となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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