ロココ(5868)ITアウトソーシング・BPOサービス及びシステム開発・保守・導入支援等を提供成長分野として注力するServiceNow事業の拡大に注目

2023/12/25

ITアウトソーシング・BPOサービス及びシステム開発・保守・導入支援等を提供
成長分野として注力するServiceNow事業の拡大に注目

業種:サービス業
アナリスト:髙木伸行

◆ アウトソーシングサービスとクラウドソリューションを提供
ロココ(以下、同社)グループは同社と中国とフィリピンの海外子会社3社(うち1社は清算中)で構成されている。同社グループの事業はITO&BPO事業、クラウドソリューション事業、その他(海外事業)の3つに分類され、更にITO&BPO事業とクラウドソリューション事業において、各々、複数の事業を展開している(図表1)。

◆ ITO&BPO事業
ITO&BPO事業注1では、(1)ITサービスマネジメント事業、(2)カスタマーコミュニケーション事業、(3)イベントサービス事業の3つのアウトソーシングサービスを提供している。

(1)ITサービスマネジメント事業
製造業、卸売業、小売業、金融など様々な業種の顧客企業に対してシステム構築のサポートやシステム管理、IT資産管理など幅広く対応している。また、アプリケーションの受託開発やヘルプデスク、キッティングサービス注2、ネットワーク構築など幅広いサービスを提供している。

大企業のクライアントが中心で、最近2事業年度の年間顧客解約率は5%未満と安定した取引先が多い。また、アウトソーシングを受託する人材については、正社員で対応することに拘りを持っていることから、同事業の正社員比率は8割を超えている。

(2)カスタマーコミュニケーション事業
コールセンターサービス及びBPOサービスを提供している。東京と大阪に合計で200超の席数があるテクニカルセンターを持ち、顧客の要望に応じたサービスを提供している。ITネットワークサポートやPCサポートといったテクニカルサポートやカスタマーサポート、営業サポートといった領域をカバーしている。24時間365日対応が可能で必要な時間・回線数だけ対応するシェアード・サービスが可能なため、顧客は費用の抑制が可能となる。

(3)イベントサービス事業
コンサートや舞台、スポーツといったイベントに関するチケッティングサービスを提供しており、利益率が高い事業である。チケット販売サイト運用、チケット購入申込の受付対応、申込データの整理、入金対応、配席作業、チケット券面作成、イベント受付や問合せ対応といった業務を一括で、あるいは一部を請け負っている。

◆ クラウドソリューション事業
クラウドソリューション事業では(1)ServiceNow事業、(2)HRソリューション事業、(3)システムソリューション事業、(4)ソリューション事業の4つのサービスを行っている。

(1)ServiceNow事業
業務フローを標準化、一元化して運用・管理できるクラウドサービスであるServiceNowを使って顧客企業のDXを実現している。ServiceNowに対応できるエンジニアは、他の事業に比べ高単価であることが特徴である。受託に際しては大企業向け且つ一次請けに拘っており、顧客の要望などを直接聞ける立場で事業を行うことを基本としている。

(2)HRソリューション事業
自社製品である勤怠管理システム「RocoTime(ロコタイム)」の開発・販売を行っている。RocoTimeは業界・業種、社員数を問わず、日本の商習慣を網羅したパッケージ製品で、約500のパラメータ設定により各社ごとに固有の就業規則に対応できるようカスタマイズが可能である。後述する顔認証システムと組み合わせた、顔認証による勤怠打刻システムのように正確な勤怠管理を可能にする製品などを提供している。また、導入支援サービスも行っている。

(3)システムソリューション事業
顧客ニーズに沿ったシステムの設計、製造及びテストなどを行う受託開発、同社のエンジニアを顧客先に常駐し顧客とともにシステム開発を行うエンジニア常駐サービスを行っている。また、Microsoft Dynamics365/Power Platformの導入支援、運用保守を行っている。

(4)ソリューション事業
同社が開発した顔認証システム「AUTH(オース)」シリーズを提供している。省スペースで大規模な設置工事を必要とせず、導入が簡単であるのが特徴である。AUTHシリーズには入退場管理システム「AUTH thru(オースルー)」、スマートフォン生体認証チケット「AUTH TICKET(オースチケット)」、PCログインソフトウェア「AUTH SIGN(オースサイン)」、顔認証入退場管理システムに電気錠を連動させた「AUTH thru KEY(オースルーキー)」がある。

◆ その他(海外事業)
中国の寧波及びフィリピンのセブをオフショア開発の拠点として、システム開発を一部委託している。寧波の開発エンジニアは全員正社員であり、中国語に加えて日本語のスキルを兼ね備えている。

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資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。