ニッポンインシュア(5843)高齢化などの社会問題解決に向けて介護費債務保証、入院費債務保証も提供

2023/10/10

家賃債務保証サービスを中核とする保証事業を展開
高齢化などの社会問題解決に向けて介護費債務保証、入院費債務保証も提供

業種:その他金融業
アナリスト:髙木伸行

◆ 家賃債務保証サービスが中核の保証事業を展開
ニッポンインシュア(以下、同社)は、保証事業とフランチャイズに加盟しコインランドリーとフィットネスクラブの運営を行っている。22/9期においては、保証事業が売上高の92.5%、その他(コインランドリーとフィットネスクラブ)が7.5%を占めた(図表1)。

◆ 保証事業
保証事業では賃貸住宅の家賃債務の保証を行なう「家賃債務保証サービス」、「介護費債務保証サービス」、「入院費債務保証サービス」を提供している。同事業の収入の約9割は家賃債務保証サービスからであり、残りは介護費債務保証サービスと入院費債務保証サービスからとなる。

介護費債務保証サービスと入院費保証サービスは19年10月から提供を開始されたが、開始直後から新型コロナウイルス感染症が拡大した。このため、感染症対策が厳しい介護施設や病院といった先への営業活動が制限されたことから、売上割合が低い水準にとどまっている。

(1)家賃債務保証サービス
賃貸住宅の賃貸借契約において入居者の連帯保証人の役割を果たすサービスである。賃貸住宅の賃貸借契約においては連帯保証人が必要となるが、連帯保証人が見つからない、あるいは知人に頼みたくないという入居希望者が増加しており、連帯保証人の役割を果たす家賃債務保証サービスへの需要は増加している。

同社は不動産管理会社を通じて入居希望者から申し込みを受け、入居希望者の審査を行い、契約可能かを判断する。契約可能と判断した場合、基本プランの例では入居者から月額賃料総額の0.5カ月分(最低保証料2万円)の初回保証料を受け取り入居者の賃料債務の保証を引き受け、1年ごとの更新では更新保証料1万円を入居者から受け取り継続して保証を行なう(図表2)。入居者が家賃を滞納した場合には不動産管理会社に対して同社が代位弁済注1を行い、後日滞納者から代位弁済した賃借料を回収している。

家賃債務保証サービスのプランは住居用、事業用、駐車場・コンテナ用の3種類の保証をベースとしている。収入に関しては住居用が過半を占めているが、事業用については1件当たりの金額が大きいことから、件数ベースは住居用ほどではないが金額ベースでは3割程度を占めているものと推定される。

各保証は基本プランがあり、それにオプションプランを付帯することができる。住居用を例にとると、鍵の紛失などのトラブル発生の際の24時間駆付けサービスや孤独死保険が付帯したプランを揃えるなど、同業他社があまり手掛けていないプランを揃えており、各不動産管理会社の幅広いニーズ応えることで高い満足度につなげている。

家賃債務保証サービスの売上高は、「新規保証契約件数×初回保証料+既存顧客数×更新保証料」に分解され、スポット部分(新規保証契約数×初回保証料)とストック部分(既存顧客数×更新保証料)から構成されている。

22/9期では、約3分の2が初回保証料であるスポット型収益、約3分の1が更新保証料(月額保証料を含む)などのストック型収益であった。時間の経過とともにストック型収益が増加してゆくことと、初回保証料や更新保証料は受け取った時点ではなく契約期間に亘って売上高に按分されるため、業績の見通しが立て易いという特徴がある。

(2)介護費債務保証サービス
介護施設の利用者と同社が保証委託契約を締結し、同社が施設利用者の連帯保証人となることで、介護施設利用費などの滞納リスクを引き受ける(図表3)。入所希望者の審査後、入所者から月額利用料の0.5カ月分(最低保証料はない)の初回保証料、1年ごとの更新では更新保証料1万円を受け取り入居者の利用料債務の保証を行っている。

(3)入院費債務保証サービス
入院患者との間で保証委託契約を締結し、同社が連帯保証人となることで入院費の未納リスクを引き受けるサービスである(図表4)。入院患者は連帯保証人を探す必要がなく、治療を受けることが出来る。病院にとっては未収金が発生した場合でも、同社が入院患者に代わって入院費を立て替えるので、回収業務が不要となるという利点がある。

入院費債務保証の契約は医療機関と締結し、保証委託料は医療機関より受取る。保証委託料率は各医療機関の未収実績に基づき算定している。入院費債務保証については損害保険会社の保証機関型信用保険注2に加入するため、同社の未収金リスクも一定の水準に抑えることが出来る。

◆ その他
WASHハウス(6537東証グロース)のフランチャイズに加盟し、福岡県内で4店舗のコインランドリーを運営している。また、カーブスホールディングス(7085東証プライム)傘下のカーブスジャパンのフランチャイズに加盟し、「女性だけの30分健康体操教室カーブス」を福岡県内で6店舗を運営している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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