笹徳印刷(3958)大手企業且つ長期の取引関係にある顧客が多い

2023/10/06

包装パッケージの企画・印刷・加工に加え、デジタル領域の拡大を目指す
大手企業且つ長期の取引関係にある顧客が多い

業種:パルプ・紙
アナリスト:髙木伸行

◆ 紙類や包装資材の印刷、広告宣伝媒体の企画などを行う
笹徳印刷(以下、同社)は、包装資材やラベルなどのパッケージ、販売促進ツール、カタログやパンフレットといった商業印刷、プロモーションやマーケティングの企画などを行う総合印刷会社である。

同社グループは同社並びに印刷媒体の企画制作を行うサンライト、中国でパッケージの製造販売を行う世徳印刷(無錫)と世徳印刷科技(無錫)注1、インドネシアでのパッケージの販売を行うSASATOKU INDONESIAで構成されている。

同社グループの売上高は、パッケージング分野とコミュニケーション分野に分類され、23/6期の売上高の62.4%をパッケージング分野、37.6%をコミュニケーション分野が占めている(図表1)。パッケージング分野は成熟分野ととらえられがちであるが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、足元の売上高は新型コロナ禍前に迫る水準まで回復している(図表2)。

◆ パッケージング分野
パッケージング分野は紙器注2や軟包装注3など包装資材パッケージの企画設計、デザイン、印刷、加工並びに商品の包装、キッティング作業から発送までの付帯サービスを提供するフルフィルメントサービスなどで構成されている。顧客のデザイン・設計に基づくだけでなく、顧客がイメージするものを同社のデザイナーが具体的なパッケージに落とし込むといったことも行っている。また、単に包装するだけでなく、POP注4機能を付加した外箱や店頭什器にもなる輸送包装箱などを幅広く手掛けている。

同分野の特徴であるフルフィルメントサービスの具体例としては、同社のクリーン化工場設備を活かして医薬部外品をパッケージングし配送したり、アミューズメント施設向けに菓子食品を同社工場で製造した箱にパッケージングまで行い配送していることなどが挙げられる。

◆ コミュニケーション分野
販売促進などの商業印刷、様々な媒体を使って広報・IR、商品PRなどを行うクロスメディアとそれに関連してパッケージング、配送先別のピッキングや発送代行、制作物の保管、配送先別に印刷内容の調整なども請け負っている。

◆ 製造体制
同社グループの製造拠点は、パッケージング分野については、愛知県豊明市にある本社パッケージ工場、本社グラビア工場、愛知県一宮市にある軟包装工場、埼玉県本庄市にある商業印刷を行う関東工場が手掛けている。また、中国にもパッケージ工場がある(図表3)。

コミュニケーション分野については愛知県豊明市の本社商印工場が担当している。

各工場をまたぐ生産は行っておらず、それぞれが完成品までを製造している。また、国内の各工場は高速道路の最寄りのインターチェンジから5分以内の立地にあり、関西、中部、関東、東北をカバーしている。

◆ 販売先
22/6期の売上高を見てみると、上場企業とそのグループ会社が取引先の52.7%を占め、大手企業との取引が多い。また、20年以上の取引がある先が75.9%、10年~20年に亘って取引がある先が12.5%を占めており、安定した取引関係にある顧客が大半を占めている。

販売額の1割を超える先としては王子ホールディングス(3861東証プライム)傘下の王子ネピアが開示されており、22/6期11.2%、23/6期10.8%を占めた。また、海外売上高比率は22/6期は9.1%、23/6期は8.5%であった。

販売先の業種も比較的分散されている。同社は販売先の事業領域を自動車産業(完成車、部品など)などからなるモビリティ、食品、薬品、化粧品などのライフ、出版、教育などに関するカルチャー、衛生用紙や電機業界向けのリビングに分類している。モビリティ、ライフ、カルチャー、リビング向けの大まかな売上構成比は、各々30%、25%、25%、20%となっている。

>>続きはこちら(1,2MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ