ネットスターズ(5590)営業損失が継続しているものの、フリー・キャッシュ・フローは大幅な黒字を計上

2023/10/04

マルチQRコード決済サービス「StarPay」やDX関連サービス等を提供
営業損失が継続しているものの、フリー・キャッシュ・フローは大幅な黒字を計上

業種:情報・通信業
アナリスト:大間知 淳

マルチQRコード決済サービス「StarPay」等を提供
ネットスターズ(以下、同社)は、QRコード決済等の複数のキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供可能にする、マルチQRコード決済サービス「StarPay」や、決済に関連するDX製品「StarPay-DX」等を加盟店に提供している。同社サービスの最終的なユーザーは一般消費者であり、事業形態はBtoBtoCとなっている。「StarPay」は23年6月末時点で、国内の約15,000社、40万超のアカウント(店舗や自動販売機等)で利用されている。
同社は、中国吉林省にある吉林大学で物理学を学んだ後に来日し、SCSK(9719東証プライム)の前身会社であるCSKや、新日鉄ソリューションズ(現日鉄ソリューションズ 2327東証プライム)でエンジニアとして勤務経験を持つ李剛氏によって、09年2月に設立された。
同社は、11年7月に、中国テンセントとKDDI(9433東証プライム)と共同でスマートフォン向けチャットアプリ「モバイルQQ日本版」をリリースした。テンセントとの関係を築いた同社は、訪日中国人観光客を主な対象として、テンセントが展開するQRコード決済サービス「WeChat Pay」の日本における代理店契約を15年に締結した。「WeChat Pay」の日本における本格導入が始まると、同社は、「WeChat Pay」決済専用アプリとして「StarPay」を開発し、加盟店への提供を開始した。17年1月には、1台の端末で、各社のスマートフォンでのQRコード決済に対応可能な「StarPay端末」の販売を開始した。
同社は専用端末を提供するだけでなく、顧客の店舗に設置されているタブレットやPOSシステムがQRコード決済に対応できるよう、API(ソフトウェアやプログラム等を連携するための仕様)を使って、柔軟に決済サービスを提供している。加盟店の獲得については、自社営業に加え、金融・クレジットカード会社等のOEM 提供先や、多数の取次店等の業務提携先を通じて効率的に行っている。
同社は、17 年10 月にLINE の子会社であるLINE Pay と、モバイル決済・送金サービス「LINE Pay」の加盟店開拓・管理業務に関する業務で提携し、「StarPay 端末」での「LINE Pay」決済が可能となった。両社の関係は、18 年2 月には資本業務提携に発展し、同社は、マルチQRコード決済サービスの本格展開に舵を切った。
その後、「StarPay」決済サービスには、中国アリババグループが展開する「Alipay」(18 年4 月)、「PayPay」、「楽天ペイ」(18 年10 月)等が追加され、現在では、国内最大級のカバレッジ数となる国内外の29 社のQR 決済ブランドに対応している。一方、クレジットカード決済は23 年2 月、電子マネー決済は同年7 月からの対応であるため、各々の決済ブランドのカバレッジ数は少ない。
また、同社は、収益源の多様化を目指し、20 年9 月には「LINE Pay」での決済機能を搭載したミニアプリ注1 を導入できる支援サービス「StarPay-mini forLINE ミニアプリ」を開発し、DX 製品注2「StarPay-DX」の販売を開始した。現在、提供されているミニアプリの機能としては、デジタル会員証や予約等が挙げられる。
「StarPay」を通じた決済取扱高は、新型コロナウイルス感染症が出現する前の19 年までは、中国人等の訪日観光客による、「WeChat Pay」等の海外ブランドQR コード決済によるものが中心を占めていたが、20 年以降は、日本人による、「PayPay」等の日本ブランドQR コード決済によるものに短期間で置き換わっている。

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