トランザクション・メディア・ネットワークス(5258) クレジットカードや電子マネー、QR・バーコードなど多様な決済サービスに対応
決済事業者と加盟店をつなぐキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供
クレジットカードや電子マネー、QR・バーコードなど多様な決済サービスに対応
業種: 情報・通信業
アナリスト:佐々木加奈
◆ キャッシュレス決済事業者と加盟店をつなぐサービスを提供
トランザクション・メディア・ネットワークス(以下、同社)は、「ありえないを、や
り遂げる。」をミッションとし、キャッシュレス決済事業者と加盟店(主に流通業の事業者)をつなぎ、あらゆるキャッシュレス決済サービスを提供するゲートウェイサービス注1とそれに伴う決済端末の販売、関連する開発等を行っている。同社に連結子会社はなく、キャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントである。
同社は、08年に三菱商事(8058東証プライム)とトヨタ自動車(7203東証プライム、名証プレミア)傘下のトヨタファイナンシャルサービスの共同出資により設立され、「クラウド型電子決済注2」を国内で初めて商用化した(一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2022」による)。
決済サービスのクラウド化により、小売店舗などに複数台設置されていた決済ブランドごとの端末を1台に集約することを可能としたことに加え、ネットワークの簡素化によるシステム障害の低減や決済情報をデータベース化して一元管理することによる保守性の改善を実現した。
◆ 店舗と決済サービス事業者をつなぐTMNゲートウェイ
同社の提供するTMNゲートウェイは、加盟店とキャッシュレス決済サービス事業者をつなぎ、様々な決済サービスを提供するシステムである。国際的なセキュリティ基準を満たす高いセキュリティレベルを備えること、複数の回線を1本に集約することにより回線費用の低減が図れること、電子クーポンや会員認証など他サービスとの連携が可能な拡張性を持つことなどの特徴がある。
同社は加盟店に対して、クレジットカード、電子マネー、QR・バーコード、地域マネー、共通ポイント、ハウスプリペイド注3といった43種類の決済サービスを提供しており、23年1月末時点で1,000社を超える加盟店に導入されている(図表1)。加盟店は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店、飲食店などが中心である。
キャッシュレス決済サービス事業者と加盟店の接続方法は、主に大型加盟店向けの「POSレジ直結型」と中小加盟店向けの「CCT(クレジットカード端末)接続型」の2通りに大別される。「POSレジ直結型」は、加盟店のシステムと同社センターの密接な結合が必要なため、加盟店独自の多様なニーズに対応する大規模開発(カスタマイズ)が必要となる。同社は、営業員による営業活動により高い技術力と強固な運営体制をアピールし、加盟店を増やしている。尚、23年1月末の社員251名のうち営業人員は1割程度で、本社の他に大阪市に西日本エリアの営業拠点を置いている。
一方、「CCT接続型」は、クレジット共同利用端末と同社に接続する決済端末をセットにして、あるいは同社のオールインワン決済端をクレジットカード会社から加盟店に販売するかたちとなっている。同社は直接的な営業を行わず、クレジットカード会社との連携体制を強化することにより加盟店増加を図っている。
加盟店及び接続端末数の増加に伴い決済処理件数、決済処理金額とも増加しており22/3期の接続端末台数は約696千台、年間決済処理金額は約3.1兆円、年間決済処理件数は約17億件となっている(図表2)。
◆ 端末台数の増加がストック収入の増加につながる
同社の収益は、非接触リーダー・ライター等の製造・販売をする「決済端末販売売上(販売台数×決済端末の単価)」、加盟店へのデータ還元や決済ブランド追加等のシステムをカスタマイズすることによる「開発売上(案件数×案件に応じた開発費)」、加盟店から得る決済処理利用料である「センター利用料(加盟店数×決済ブランド数に応じて設定する月額固定の利用料)」、利用する決済ブランドごとの課金及び端末台数に応じて設定する手数料である「登録設定料(端末台数×決済ブランド数に応じて設定する月額固定の設定料)」、同社から加盟店への入金精算に係る手数料である「QR・バーコード精算料(決済処理金額×手数料率)」に分類される。
その他には、プリペイドカード決済であるハウスプリペイドの利用料、中小規模事業者に提供するマルチ決済サービスnextore(ネクストア)の利用料、クラウドサーバー上にデータを保存するクラウドPOSの利用料などがある。
同社は、決済端末販売売上と開発売上をフロー収入、センター利用料、登録設定料等、及びQR・バーコード精算料をストック収入と区分している。加盟店が設置する端末台数の増加に伴いストック収入が増加する収益構造となっており、23/3期第3四半期累計期間におけるストック収入は売上構成比の7割を超えている(図表3)。