ノバシステム(5257) 特に保険業界向けの業務知識蓄積で優位性を確立

2023/04/05

金融業界向けの業務用情報処理システム開発が主力
特に保険業界向けの業務知識蓄積で優位性を確立

業種: 情報・通信業
アナリスト: 松尾十作

◆ 保険業界向けに強みを持つシステム開発を手掛ける
ノバシステム(以下、同社)の事業はソフトウエア開発事業の単一セグメントで、サービス種別ではシステムインテグレーションとクラウドサービスがある。22/12期においては、システムインテグレーションの売上高が全体の97.9%を占めている(図表1)。

システムインテグレーションは、生命保険会社及び損害保険会社向けに個人保険商品システム、企業年金システム、共済保険システム、勘定系システムといった金融業界向けを中心に業務用処理システムの開発を行っている。要件定義や基本設計の上流工程からソフトウエア開発までのサービスを提供している。元請システムインテグレーション企業やユーザー企業系列のシステム開発企業からの受注が主で、顧客企業からの直接受注は1割未満と少ない

保険業界向けシステム開発は、22/12期のシステムインテグレーション売上高の54.9%を占める主要事業領域である。システム開発実績を積み重ねることで保険業界の知識を蓄積し、保険業界向けシステム開発における優位性を確保できていると同社は考えている。

クラウドサービスは10年12月に飲食店向け店舗運営支援システム「Order Revolution」の提供を開始したことから始まり、21年2月には受付業務支援システム「アイウェルコ」の提供を開始した。この2つのシステムはいずれもSaaS注1でのサービス提供を行っている。インターネットを介して同社のサーバーでソフトウエアを稼働するため、機能追加の更新等により最新ソフトウエアの提供を行うことが可能となっている。

クラウドサービスに着目したのは、08年のリーマンショックの影響から09/12期の売上高が前期比大幅減収となり、安定的な収益が得られるストックビジネスを事業に加えるべきとの経営判断によるものである。

同社の店舗運営支援システムは、飲食店における既存のPOSレジ注2との連携機能を備え、顧客の来店から精算に至るまでを一気通貫で支援するシステムである。クラウド上でメニュー登録や価格設定を行うため、店舗及び店舗網を一元管理できる利点がある。22/12期末時点での契約店舗数は242店である。

受付業務支援システムでは、機器に内蔵されたWebカメラが来訪者の顔を検知し、受付業務が自動的に開始される。画面内の受付アバター注3から音声による来訪者への問いかけがあり、来訪者の音声での回答は画面内にテキストで表示される。受付アバターとのやり取りが終ると受付情報は面会先に転送される仕組みである。来訪者はテキスト入力をする必要もなく、来訪者が重なる時間帯であっても受付アバターが迅速に対応することから混雑を緩和することが可能となる。22/12期末時点での契約社数は7社である。

いずれのシステムも売上高は新規導入設置料及び月額利用料で構成されている。販売方法は飲食店及びユーザー企業への直接販売と販売代理店を介した販売があるが、売上高は販売代理店経由によるものが多い。

◆ 主要顧客
ニッセイ情報テクノロジー(東京都大田区)が開示されている20/12期、21/12期、22/12期において販売先の首位を占めている(図表2)。

ニッセイ情報テクノロジーは日本生命グループのIT戦略を担う会社として1999年に設立された会社で、日本生命グループ各社の情報システム構築で培った経験をもとに「保険・共済」、「年金」、「ヘルスケア」領域を事業の柱としている。

日本アイ・ビ-・エム(東京都中央区)向けの販売額の割合が下降傾向にあるのは、今後の取引縮小に繋がるものではなく、案件によるものである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。