Fusic(5256) DX支援の強化と量子コンピューティングや宇宙等の新領域進出で成長を目指す

2023/04/04

クラウド上でのシステム構築・運用、AI、IoT 活用による DX 支援を行う
DX支援の強化と量子コンピューティングや宇宙等の新領域進出で成長を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト: 鎌田良彦

◆ クラウド上でのシステム構築・運用、AI・IoTを活用したDX支援を行う
Fusic(以下、同社)は、福岡市に本社を置き、オンプレミスシステム注1から主にAmazon Web Services(以下、AWS)のクラウドサービスを活用したクラウドシステムへの移行や、クラウド上でのシステム開発と運用、AIやIoT注2とクラウドシステムの組み合わせによる顧客のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)支援、自社開発のプロダクトサービスの提供を行っている。

同社の事業はDX事業の単一セグメントであるが、クラウドインテグレーションサービス、データインテグレーションサービス、その他サービスの3つのサービスを提供している。

22/6期の売上高構成比は、クラウドインテグレーションサービスが75.7%、データインテグレーションサービスが17.5%、その他サービスが6.6%であった(図表1)。地域別売上高構成比は、九州が約45%、東京都を中心とする首都圏が約45%となっており、近年は九州の構成比が下がり、首都圏の構成比が上昇している。顧客別には大学や研究開発機関等の公共セクターに強みを持ち、売上高の約30%を占めている。

案件の獲得は、公共セクターの案件は入札となるが、民間の案件は、AWSからの紹介、同社のホームページへの問い合わせ、既存顧客での他部署への展開等のリピート案件が多い。

◆ クラウドインテグレーションサービス
クラウドインテグレーションサービスは、MicrosoftのAzure、Google Cloud Platform(GCP)等にも対応しているが、主にAWSのクラウドを利用した以下の3つのサービスからなる。

1) クラウドネイティブインテグレーション
AWSの様々なサービスに関する知識と経験を活用して、オンプレミスシステムからクラウドシステムへの移行に伴うクラウド環境の構築や、クラウド上でのアプリケーションの開発等を行う、フロー型のサービスである。

同社は九州に本社を持つ企業として唯一、AWSのアドバンストティアサービスパートナー認定を受けており、16年12月には日本初のパブリックセクターパートナー認定を受けている。

2) リセール
AWSのリセーラーとして、AWSからクラウドをドル建てで仕入れ、顧客に円建てで再販売する請求代行サービスを中心とするストック型のサービスである。請求代行のみならず、クラウド導入前後の技術的なアドバイス等も提供している。

3) MSP
MSP注3はクラウド上に構築したシステムの保守・運用を提供するストック型のサービスである。保守・運用のみに留まらず、日々提供される新たなAWSのサービスや顧客ニーズに対応するためのシステムのアップグレードやコスト最適化策の提案等も行っている。

◆ データインテグレーションサービス
AI、IoT、ビッグデータ解析等を活用して、データの収集、蓄積、解析等により顧客事業のDXを推進するシステムの開発を行う。データ収集と活用に関して仮説構築と検証、PoC注4の確立、システム開発と実装の段階を踏むことが多いため、契約期間に一定の売上高が計上される準委任契約が多い。

AI、IoTシステムの構築ではAWSの各種サービスの利用を行うとともに、データの蓄積ではAWSのクラウドシステムを利用する等、クラウドインテグレーションサービスとの組み合わせによるサービスの提供を行っている。IoTでは、IoTプラットフォームを提供するソラコム(東京都港区)の販売代理店となっており、ソラコムを通じた案件獲得もある。

◆ その他サービス
その他サービスでは、自社開発の以下の製品を月額課金や都度課金の形で、ストック型のサービスとして提供している。

1) 360(さんろくまる)
360は、人材評価に関して被対象者の上司や同僚・部下といった周囲の人が評価を行う360度評価を効率的に行うためのサービスである。PCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末での入力が可能で、評価結果の資料が自動作成される。売上高は利用料、オプション料、カスタマイズ料、更新料からなり、利用料は評価実施時期のみに発生する。23年1月時点で、累計で1,000社以上の利用実績がある。

2) sigfy(シグフィー)
sigfyは、学校と保護者を繋ぐ連絡サービスである。学校からの送信は、PC、スマートフォンのどちらでも可能で、メッセージの送信予約や、送信先の細かな設定、資料の添付、アンケート送付等ができ、保護者側ではアプリやメール、LINEでメッセージを受け取れ、遅刻や欠席の連絡を行うこともできる。私立学校を中心に23年1月時点の利用者は11万人となっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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