SHINKO(7120) 技術サポートのテクニカルセンター拡充と医療機器修理の全国展開で成長目指す

2023/03/24

医療機器等の保守サービス、ICT機器の設定・設置、エンジニアの派遣業務を展開
技術サポートのテクニカルセンター拡充と医療機器修理の全国展開で成長目指す

業種: 卸売業
アナリスト:鎌田良彦

◆ 医療機器等の保守、ICT機器の設定・設置、エンジニア派遣を行う
SHINKO(以下、同社)は、病院、クリニックや調剤薬局向けの医療機器を中心とした保守サービス事業、ICT注1機器の設定、設置等のソリューション事業、エンジニアの派遣を中心とする人材サービス事業を行っている。

22/3期のセグメント別売上高では、保守サービス事業が31.4%、ソリューション事業が52.8%、人材サービス事業が15.8%を占めた(図表1)。

◆ 保守サービス事業
保守サービス事業では、システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービスを提供している。主力業務は、PHCホールディングス(6523東証プライム)傘下のPHCが製造する病院、クリニック向けレセプトコンピュータや電子カルテシステム、調剤薬局向け電子薬歴システム等の保守業務である。約35,000件の保守契約を締結し、全国60カ所超の拠点(支店・営業所)と技術支援を行う東京のテクニカルセンターが連携し、24時間365日、顧客先に出向くオンサイト保守サービスを提供している。

PHC製のレセプトコンピュータと電子カルテシステムの保守の契約形態は、同社がクリニック等の顧客と直接保守契約を結ぶハードウェア保守契約と、PHCが顧客とハードウェア機器契約を結び、同社が顧客に保守サービスを提供し、PHCからハードウェア保守料を受け取るシステムサポート契約の2つがある。

現在、PHCはシステムサポート契約への移行を進めており、機器のリプレースのタイミングでシステムサポート契約への変更を行っている。このため契約当たりの売上高は減少傾向にあるが、ハードウェア保守契約では補修部品をPHCから有償で調達する必要があるが、システムサポート契約ではPHCから無償で提供を受けるため利益面への影響は殆どない。一方で従来、保守契約を結ばないで故障の都度対応していた顧客ともシステムサポート契約を結ぶようになったため、保守契約件数は増加傾向にある。

22/3期の保守サービス事業の売上高の70.5%は、PHC及びPHC製品を使用するクリニックや調剤薬局向けであった。PHC製のレセプトコンピュータ、電子カルテシステム、電子薬歴システム等の保守サービスについてはほぼ全てを同社が扱っている。また、PHC製以外の医療機器やIT機器等の保守業務も行っている。

コールセンターやヘルプデスク業務、機器の稼働状況をリモートでチェックする遠隔監視業務については、東京のテクニカルセンターで対応し、22年12月現在、53社から業務を受託している。

東京都、大阪府、宮城県、北海道、福岡県では専任技術者を配置し、画像診断装置や心電図モニター等の医療機器の修理業務を行っている。

◆ ソリューション事業
ソリューション事業では、サーバやPC、ネットワーク機器等のICT機器を中心とするシステムの設計・構築、機器の販売・設定、設置工事、全国レベルでの設置・導入に際しての展開管理等を行っている。主要顧客としては日本電気(6701東証プライム)、KDDI(9433東証プライム)、調剤薬局のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるカケハシ(東京都中央区)等がある。同社はこれらの企業が受注した案件に対して機器の選定・販売、機器の設定やソフトウェアのインストールを行うキッティングサービス、顧客への機器の設置等を行っている。

本社の管理の下、全国の拠点を通じて設置サービスを提供しており、東京都八王子市にはキッティングを行い全国に配送するキッティングセンターを有している。また、全国の13支店には営業担当者を置き、地元の官公庁や企業からのソリューション案件の獲得を行っている。

◆ 人材サービス事業
人材サービス事業では、IT機器の保守、点検、修理を行うカスタマーエンジニア(以下、CE)や、ネットワークの設計・構築、派遣先企業の営業サポートを行うシステムエンジニア(以下、SE)の派遣業務を行っている。22/3期末の派遣人員総数は262名で、18/3期末の212名から拡大してきた。

主要派遣先である日本電気の完全子会社であるNECフィールディングには、22年12月時点で140名を超えるCEを派遣している。KDDIグループ向けには同時点で60名超のSEを派遣しているほか、15名以上が業務委託契約により顧客向けのシステムの提案・見積作成業務等を行っている。

◆ 主要販売先
22/3期の主要顧客向け売上高構成比は、PHCが14.0%、KDDIが10.5%、NECフィールディングが8.1%で3社合計では32.6%であった(図表2)。PHC向けは保守サービス事業、KDDI向けはソリューション事業と人材サービス事業、NECフィールディング向けは人材サービス事業が太宗を占めている。

上記の主要顧客向け売上高構成比は、これら3社向けの直接売上高に基づくものであり、保守サービス事業ではPHC製品を利用する顧客向け保守サービス契約の売上高があること、KDDIでは本体以外のグループ会社への売上高があることを考慮すると、これら3社に関連する実質的な売上高構成比は40%を超えると推定される。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。