共栄セキュリティーサービス(7058) 23年3月期は前期の臨時契約案件の反動減で減収減益だが、需要は変わらず
施設警備を主力とする人的警備に特化した警備会社
23年3月期は前期の臨時契約案件の反動減で減収減益だが、需要は変わらず
業種: サービス業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・共栄セキュリティーサービス(以下、同社)は、施設警備や雑踏・交通誘導警備等の警備員を必要とする人的警備に特化した警備会社である。
2.財務面の分析
・14/3期から22/3期まで、新型コロナウイルス禍の影響を受けた21/3期以外は増収で、施設警備を中心とした拡大により、年平均増収率は8.8%であった。同期間、上場に向けて費用増となった16/3期と、減収となった21/3期以外は増益であり、経常利益の年平均成長率は25.6%であった。
・直近業績の財務指標では同社のROEが他社を大きく上回った。臨時契約案件の貢献によるものであることから、参考程度に留めておいた方が良い。通常期の同社のROEは大手を若干下回る程度である。一方、安全性指標は他社に比べて優位性がある。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、警備員の採用・育成の仕組み(組織資本)である。警備員の質の向上を伴う諸施策により、業界平均よりも若い年齢構成、高い女性比率の警備会社となり、施設警備の案件獲得や広域展開に貢献し、新たな顧客や案件の獲得につながり、顧客が増えていった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、警備員の確保及び定着、積極的に行おうとしているM&A後の統合プロセスの適切な管理が挙げられる。
・同社は、価格低下圧力や人材獲得競争等の課題の解決のため、同業他社との協業プラットフォーム構築を長期の成長戦略の根幹に据えている。そのプラットフォームでイニシアティブをとるためにも同社の規模拡大は必須で、オーガニック成長に加えM&Aを活用していく方針である。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、差別化要因として追求してきた警備品質を維持しながら規模拡大を続けてきた点を評価している。
・長期的な成長に向け、警備品質維持と規模拡大を両立し続ける必要があることから、警備員数、常駐契約金額の拡大ペースに注目したい。