ウェルプレイド・ライゼスト(9565) イベント拡大、人材サポートを通じた e スポーツの普及推進で成長を目指す

2022/12/06

e スポーツイベントの企画・運営、e スポーツ選手等関連人材のサポートを展開
イベント拡大、人材サポートを通じた e スポーツの普及推進で成長を目指す

業種:サービス業
アナリスト:鎌田 良彦

◆ eスポーツイベントの企画・運営や選手等関連人材のサポートを展開
ウェルプレイド・ライゼスト(以下、同社)は、eスポーツイベントの企画・運営、eスポーツ選手や実況者、解説者等のeスポーツ関連人材のサポート、eスポーツと他の領域のコラボレーションによる新規事業の創造等を行っている。

eスポーツとは、electronic sportsの略で、広義には電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指し、狭義にはコンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称である。

同社の事業セグメントは、eスポーツ事業の単一セグメントであるが、サービス内容としては、eスポーツイベントの企画・運営を行うクライアントワークサービス、eスポーツに関わる人材サポートを軸としたパートナーソリューションサービス、新規事業であるビジネスデザインサービスの3つを展開している(図表1)。

ビジネスデザインサービスは22/10期に開始した事業であり、22/10期第3四半期累計期間の売上構成比は、クライアントサービスが66.8%、パートナーソリューションサービスが25.9%、ビジネスデザインサービスが7.3%であった。

◆ クライアントワークサービス
クライアントワークサービスは、スポンサーからの委託を受けて、eスポーツの競技会等のイベントを企画・運営するサービスである。スポンサーは、自社ゲームのプロモーションを行うゲームメーカーが過半を占め、その他は、eスポーツの主要参加者であるZ世代注1向けのマーケティングを行う企業や、広告代理店、動画配信のプラットフォーマー等である。

イベントには選手や観客が一堂に会して行うオフライン型と、選手をオンラインで結んで競技を行うオンライン型があり、イベントの開催費用はオフライン型の方が高い。イベントは市販のゲームを使って行われるが、ゲームメーカーからの利用許諾の取得や、競技会のルール策定、ライブ配信の運営等を行う。動画配信はYouTubeやTwitch等の動画配信プラットフォームを利用している。

◆ パートナーソリューションサービス
パートナーソリューションサービスは、eスポーツ選手、イベントの実況者、解説者、インフルエンサー等のeスポーツに関わる人材に対して、様々な収益機会を創出、提供するサービスである。具体的には以下の4つのサービスを行っている。収益は、①~③については、顧客から委託料を得ており、④については、クリエイターが制作する動画の広告収入の一部を手数料として得ている。

①スポンサー仲介(エージェント業)
eスポーツに関心を持つ企業に対して、同社の強みであるeスポーツイベントや関連人材とのつながり活かし、ニーズのヒアリングから企画作成、提案、契約締結までをワンストップで提供するサービスである。具体的には大会・イベント、選手・インフルエンサー、チーム等へのスポンサー仲介があり、パートナーソリューションサービスの主力サービスとなっている。

②インフルエンサーマーケティング
ゲーム会社等による新作ゲーム等のプロモーションのために、インフルエンサーを起用した施策の提案を行っている。インフルエンサーはeスポーツの元プロ選手等、eスポーツ業界への影響力をもつ人材である。

③キャスティング
ゲームイベントや競技会において、最適な実況者、解説者、インフルエンサー等を選定して手配するサービスである。

④クリエイターサポート
21年6月にサービスを開始したサービスでクリーク・アンド・リバー社(4763東証プライム)と協業し、ゲーム実況者、eスポーツ選手等のゲーム分野のクリエイターが運営するYouTubeチャンネルと提携し、クリエイターの活動を支援するMCN注2である、OC GANESの運営を行っている。同社はクリエイターのスカウト業務や、切り抜き動画注3管理やスポンサー獲得による収益多角化、YouTubeにおけるトラブル対応等を行っている。

◆ ビジネスデザインサービス
22/10期より開始したビジネスデザインサービスは、eスポーツの新たな価値を創造するサービスやコンテンツの企画・開発を目的としている。プロゲーミングチームのZETA DIVISION®とeスポーツイベントLIMITZの共同運営を行っている。プロゲーミングチームへのスポンサー仲介も行っている。また、eスポーツによる地域振興を目指し、南海電気鉄道(9044東証プライム)と協業し、大阪府の泉佐野市をeスポーツ先進都市とすることを目的としたeスポーツMICE注4コンテンツ実証事業を行っている。収益は大部分がeスポーツイベントに対するスポンサー料とスポンサー仲介の委託料である。

◆ 主要販売先
20/10期に売上高の35.8%を占めたレッドホースコーポレーション(東京都墨田区)への売上高は、20年3月に大阪にオープンしたゲームで学ぶデジタル教室REDEE(レディー)立ち上げに同社が参画し、コンセプト立案から機材選定、施設設計及びオープン後のeスポーツエリアの管理運営を担当したことによるものである(図表2)。DouYu Japan(東京都渋谷区)向け売上高は、動画プラットフォームのMildom(ミルダム)で配信するeスポーツ大会の運営の受託等によるものである。フジテレビジョン(東京都港区)向け売上高は、同社と共同でeスポーツ大会を受託した際に元請け会社であったフジテレビジョンに対するものである。Epic Games, Inc.向け売上高はゲームFortniteの国内大会の受託によるものである。

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