プログリット<9560> 新型コロナウイルス禍の影響から脱却して利益拡大軌道に戻るかに注目

2022/10/12

短期集中で成果を出す英語コーチングサービス「プログリット」を展開
新型コロナウイルス禍の影響から脱却して利益拡大軌道に戻るかに注目

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」を提供
プログリット(以下、同社)は、英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」を提供している。人の力とテクノロジーの力を融合させて英語学習に革新を起こすことを事業コンセプトとし、応用言語学や第二言語習得理論の知見を活かした科学的英語学習の方法を磨き上げてきた。また、「プログリット」から派生させる形で、リスニング力向上に効果的とされるシャドーイング注を用いたトレーニングサービス「シャドテン」も提供している。

同社の事業は、英語コーチング事業の単一セグメントだが、売上高は英語コーチングサービスとサブスクリプション型英語学習サービスの2つに分類される(図表1)。21/8期こそ減収となったものの、売上高の中心は英語コーチングサービスである。一方、サブスクリプション型英語学習サービスは文字通りサブスクリプション型のサービスであるため、ユーザー数が積み上がっていくことにより、着実に売上高を増やし、売上構成比の上昇が続いている。

◆ 英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」
英語の習得が目的の場合、英語学校や英会話学校は、英語または英会話そのものを指導する。それに対し、英語コーチングは、英語の学び方を指導することに大きな特徴がある。

「プログリット」では、受講生ごとに専任のコンサルタントがつき、伴走する形で受講生の英語学習をサポートする。受講生は、コンサルタントが作成したオーダーメイドのカリキュラムに沿って1日2~3時間の自学自習を行う。日々の学習管理は自社開発のアプリを通じて行われ、比較的短期間に集中的に英語学習を行うことで、目に見える形での英語力の向上を実現する。

通常の英語学校に比べ、1日当たりの学習時間は「プログリット」の方がはるかに長い。その学習時間の捻出のために、コンサルタントは受講生の生活習慣の見直しを提案し、学習の継続のために日々のモチベーションマネジメントも行っていく。また、毎週1回面談を実施し、学習の効果を上げるために必要な問題解決セッションを行う。面談はコンサルタントが所属する校舎での対面か、オンラインかを選択することができるが、新型コロナウイルス禍を経て、現在は70%がオンラインでの面談となっている。なお、22年7月末時点で、関東7校舎、関西1校舎、東海1校舎が稼働している。

「プログリット」は現在、「ビジネス英会話」、「TOEICⓇ L&R TESTコース」、「初級者コース」、「TOEFL iBTⓇ TEST/IELTSコース」の4つのコースを提供している。受講期間に応じた料金表は図表2の通りだが、入会金を除いた1カ月当たりの料金は17万円台~19万円台である。なお、期間別に見ると最も多いのは3カ月のコースである。

受講生は22年7月末時点で累計13,000名を超えている。その大半は個人だが、最近は法人顧客も増えてきており、22年7月末時点で198社の法人にサービスを提供している。

◆ 「プログリット(PROGRIT)」終了後の継続学習
「プログリット」を終了した受講生には2つの継続学習の道が用意されている。ひとつは、「NEXT」と呼ばれる継続コースで、内容は「プログリット」と同じである。もうひとつは「シャドーイング添削コース」であり、「プログリット」のプログラムの一部を取り出したサービスである。

同社では、「プログリット」修了者のうち、「NEXT」または「シャドーイング添削コース」を利用している人の割合を継続コース入会率として重視している。継続コース入会率は、20/8期45.3%、21/8期57.0%、22/8期第3四半期累計期間59.6%と上昇が続いてきた。

◆ 新型コロナウイルス禍を契機に始まった一般向けの「シャドテン」
新型コロナウイルス禍により、対面型の面談を必要としていた「プログリット」の不振が同社の業績に打撃を与えたが、その対策のひとつとして、同社は20年6月に「シャドーイング添削コース」を一般向けに開放し、「シャドテン」という名称でサービスを開始した。

「シャドテン」のユーザーは、サービス開始時に英語リスニング力を測るテストを受け、レベルと目的に合った学習課題を選び、専用アプリを使って、1日30分程度のシャドーイングを行う。サービスの最大の特徴は、シャドーイングを行った音声をユーザーがアプリ上で提出すると、同社が契約しているシャドーイングアドバイザーが24時間以内にフィードバックを行うことであり、これにより学習効果を高めている。

「シャドーイング添削コース」と「シャドテン」はともに月額課金のモデルで、月額21,780円(税込)である。一般向けの「シャドテン」の開始により、同社のサブスクリプション型英語学習サービスが本格化した。そして、「シャドーイング添削コース」と「シャドテン」を合わせての有料課金ユーザーは22年7月末時点で2,800名超となっている。

◆ サービス品質を上げる仕組み
「プログリット」の大きな特徴であるコンサルタントは、全員が採用率0.88%の高いハードルを通過した正社員である。同社の英語学習に関する考え方を理解した、コミュニケーション能力や論理的思考力が高い人材が充てられている。質を担保するために、ひとりのコンサルタントが一度に担当する受講生の数の上限を定めるなどの工夫がなされている。一方、シャドーイングアドバイザーは、コンサルタントとの兼任はなく、業務委託契約で働く人がほとんどである。

受講生の日々の学習管理は、自社開発したアプリを使用し、効率的な管理につなげている。また、一部の例外はあるが、使用する教材の大半はスマートフォンで完結する、自社開発のものとなっており、これらの蓄積も同社の競争力の源泉のひとつとなっている。アプリや教材を自社開発することで、常に改善が図られている。

◆ 収益構造
「プログリット」は受講生からの受講料が、「シャドーイング添削コース」と「シャドテン」は利用者からの月額利用料がそれぞれ同社の収益となる。前者はフロー型、後者はストック型の収益と言える。

費用面では、「プログリット」のコンサルタントの人件費や校舎の地代家賃が原価計上される。一方、シャドーイングアドバイザーへの業務委託費は販売費及び一般管理費(以下、販管費)に計上される。販管費に含まれる広告宣伝費の配分次第のため、サービス別の営業利益率の高低は分からないが、サービス別の売上総利益率でみる限りでは、英語コーチングサービスの方が低くなる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。