キットアライブ<5039> 北海道から日本のクラウドビジネスを支える

2022/10/03

Salesforce導入支援及びSalesforce製品開発支援を行う
北海道から日本のクラウドビジネスを支える

業種: 情報・通信業
アナリスト:髙木 伸行

◆ Salesforce導入支援とSalesforce製品開発支援を行う
キットアライブ(以下、同社)は、クラウドサービス注1であるSalesforceを基盤としたシステム開発や保守運用を行う「Salesforce導入支援」、AppExchange注2で販売されるSaaS型アプリケーションの構築を支援する「Salesforce製品開発支援」、Salesforceなどの「ライセンス販売」を行っている。

21/12期の売上高構成比は、Salesforce導入支援とSalesforce製品開発支援の合計であるクラウドソリューションが96.2%、ライセンス販売が3.6%である(図表1)。22/12期第2四半期累計期間(以下、上期)ではライセンス販売の構成比が、21/12期通期より大きく低下しているが、新収益認識基準の適用により、売上高が従来基準よりは少なく計上されているためである。

◆ クラウドソリューション
(1)Salesforce導入支援
同社はSalesforce導入支援やSalesforceを基盤としたシステム開発サービスを提供している。ITコンサルティング、要件定義、設計、開発、システムテスト、保守運用といったシステム開発の全工程を3 人~4 人程度のエンジニ アチームがワンストップで対応している。開発期間が1 カ月~3 カ月程度の プロジェクトが多く、対象業務は多岐にわたるがSalesforce が強みを持つ顧 客管理や営業支援を目的とすることが多い。

(2)Salesforce 製品開発支援
Salesforce 上でSaaS 型製品の構築・販売を考えている企業に対して製品開発支援を行っている。同社が支援することでSalesforce 技術のノウハウがない企業であってもサービスを展開することが可能になる。製品開発委託元に対しては追加機能構築や仕様変更など継続的なサポートも行っている。

◆ ライセンス販売
同社はSalesforce のライセンス販売を行っている。同社はセールスフォース・ジャパンの販売代理店であるテラスカイ(3915 東証プライム)の二次代理店である。上場前は、テラスカイは同社株式の58.2%を保有しており、同社はテラスカイの連結子会社であった。上場時点では持分比率は49.5%となり、持分法適用会社となる予定である。

◆ アジャイル開発を主に中小企業やスタートアップ企業を支援
同社は、IT 人材が不足する中小企業やスタートアップ企業などの予算規模の小さい企業を対象とした少人数・短納期のプロジェクトを得意としている。20/12 期、21/12 期の2 期間でのクラウドソリューションの案件数は443 件であったが、受注金額1,000 万円未満の規模の小さい案件が426 件となり、96.2%を占めた。

大規模投資を前提としたウォーターフォール開発注3 ではなく、アジャイル開発注4 を主な開発手法としている。

新規顧客獲得については、アウトバウンド型の営業は行わず、セールスフォース・ジャパン、及びNEC ソリューションイノベータ(東京都江東区)、電通国際情報サービス(4812 東証プライム)といったSIer や製品開発委託元企業からの紹介が中心である。また、リピート発注も多くエンジニアが窓口となって受注している。

案件の地域別の凡その内訳としては、北海道が4 割、首都圏が4 割、その他が2 割となっており、同社のビジョンである「北海道から日本のクラウドビジネスを支える」のもと、全国への展開が進んでいる。

◆ 特定取引先への高い依存度
同社の販売先を見るとNEC ソリューションイノベータ、電通国際情報サービス、シナプスイノベーション(大阪市北区)、Phone Appli(東京都港区)、テラスカイといったソフトウェア開発やIT 導入・活用支援を行う企業が上位に顔を出している(図表2)。

また、テラスカイならびにその子会社であるCuon(東京都中央区)、BeeX (4270 東証グロース)、スカイ365 (札幌市北区)との間には開発受託、ライセンス購入、クラウドソリューション案件委託、クラウドシステム開発委託などの取引がある。21/12 期のテラスカイグループとの取引金額(販売と仕入の合計)は90 百万円に達した。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。