アイスコ<7698> フローズン事業の「フルメンテナンスサービス」が当面の成長の主軸
フローズン商品に特化した食品卸と生鮮食品スーパーの二本柱で展開
フローズン事業の「フルメンテナンスサービス」が当面の成長の主軸
業種: 卸売業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・アイスコ(以下、同社)は、アイスクリームと市販用冷凍食品に特化した食品卸と食品スーパーマーケットの運営を行っている。
2.財務面の分析
・16/3期から21/3期までの年平均成長率は、売上高が4.7%、経常利益が26.8%であった。会計処理変更があった17/3期以外は増収が続いたが、顧客企業の成長ペースに体制整備が追いつかずに19/3期と20/3期は減益となった。その状況が解消された21/3期は大幅増益となった。
・食品卸で小売店舗も展開している企業の財務指標と比べると、自己資本利益率(ROE)は高いが、財務レバレッジの高さ(自己資本比率の低さ)が主要因であり、売上高利益率には改善の余地があると考えられる。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、フローズン事業の「フルメンテナンスサービス」を支える自前の物流・配送網(組織資本)である。業界のトレンドに反して自前の物流・配送網を保有し続けたことで、競争優位性を確立し、関係資本である顧客企業を増やしていった。その結果、顧客企業の事業拡大とともに同社は成長することができるようになった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、「フルメンテナンスサービス」の配送員の増員と定着、同サービスの提供体制の強化と収益力の向上が挙げられる。
・30年度に売上高1,000億円、営業利益25億円の達成を目指す10年ビジョンを見据えた24/3期までの中期経営計画では、(1)人財育成と組織力向上、(2)既存事業の収益力向上、(3)新規事業の創出の3点を重点テーマとしている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、自前の物流・配送網を保有し続け、さらに「フルメンテナンスサービス」として磨き上げてきたことが競争優位性の源泉と評価している。また、フローズン事業とスーパーマーケット事業を併営するシナジー効果は、新規事業であるフローズン専門店の出店でさらに明確になる可能性があると見て、その動向に注目したい。